箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
箱根駅伝オリジナル4の2校が本気に。
筑波と慶應が目指す24年ぶりの箱根。
text by
神津伸子Nobuko Kozu
photograph bySports Graphic Number
posted2017/10/12 16:30
慶應大が箱根駅伝に出場すると、実に24年ぶりとなる。知名度、資金力は有数なだけに、伸びしろは大きい。
予選会のコース試走で好結果を出した筑波。
箱根駅伝に向けて、両校の現在の調子はどうなのだろうか。
筑波大は大学内での競技会で強化練習が終了し、決戦に向けた調整段階に入っている。先月末に行われた予選会のコース試走を報じた新聞の紙面では、筑波の学生たちが大きく扱われた。「縁起がいいな。これで、本戦も絶対いけるな」(弘山)と盛り上り、選手たちの気持ちも引き締ったという。
昨年は集団から飛び出したものの、後半に他校の選手たちにどんどん抜かれて行った悪夢も蘇る。「同じミスは二度と繰り返さない」。昨年も走った選手たちは、決意を新たにした。試走の様子を報道したその翌日には1万メートルのペース・トライアルを実施。ほとんどの選手がペースを崩さずに走り、チームの勢いに弾みがつく結果となった。「選手たちは本当に強くなっている」
慶應の目標は、学生連合に選手を送り込むこと。
一方の慶應義塾は「初年度は選手を箱根の学生連合に何としても送り込むこと。スタートから半年の第一段階の目標。心身ともに、選手全員が大きく良い感じで成長して来ている」(保科)
夏の大会で自己ベストを更新する学生が何人も出た。日体大で行われた秋の記録会でも、エースの根岸が関カレB標準を突破した。
「最後は気持ちの部分であり、予選会というチームのレースになった場合には、自分がチームのエースだという自覚をしっかりと持って走り抜いて欲しい。1秒でも速くゴールするという思いがなければ、エースとは言えない」と、保科からの要求も高い。
9月17日に日吉のグラウンドで、陸上の早慶戦と創部100周年記念式典が開催され、早稲田にかつてない大差で勝利した。続けて行われた式典は、舞台の奥が全面ガラス窓という作りで、グラウンドが見渡せるホールで行われた。
この日は台風のようなひどい横殴りの雨。足元が滑りそうな水たまりも出来る中、1人黙々とトラックを走り続ける選手がいた。蟹江ら多くのOBらはそれに気づき静かに見守り、保科は自分の腕時計でラップを計った。
「予選会に向けて、選手たちは心身ともに強くなって来ている」(保科)
それぞれのプロジェクトの先にある予選会が、眼前に迫る。