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「去年はお通夜みたいだったけど」
中央大学と2年生主将、箱根へ帰還。

posted2017/10/16 17:00

 
「去年はお通夜みたいだったけど」中央大学と2年生主将、箱根へ帰還。<Number Web> photograph by Kyodo News

下降線に入った名門を立て直すことは、想像以上に難しい。中央大学は、その逆境を跳ね除けて箱根に帰ってきたのだ。

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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Kyodo News

「去年はお通夜みたいだったけど、今年は……」

 中央大学の卒業生が、そういって顔をほころばせていた。

 箱根駅伝予選会。名門・中大は3位で予選を通過し、箱根路に帰ってくることになった。

 昨年の予選会は11位。関係者にとって、連続出場記録が87で途切れるという「大事件」が起きた。1年生主将だった舟津彰馬の「敗戦の弁」は幾度となくメディアで流れた。

「外部から心ない声や、本当に今年は大丈夫なのかと、多くの声をいただきました。でも、自分たちはやれると思いながら、やってきました。それに対して、誰も文句は言えません。もし、先輩方に文句を言うような人がいたら、自分が受けて立ちます。自分にすべてぶつけてください。先輩に心ない声や、そんなことを言うような人がいたら、自分は許しません」

 いま、彼の言葉を読んでも胸がつぶれる思いがする。実際に心ない声が彼のところには寄せられたという。なぜ、そんなことが出来るのか。

練習の結果が中大にもたらした余裕と笑顔。

 あれから1年。

 2017年10月14日、予選会のスタートラインに立った舟津には笑顔があった。彼だけではない。3年生の堀尾謙介もいい笑顔を浮かべていた。

 レース前だというのに――。

そこに緊張は感じられなかった。彼らの表情を見て、

「今年の中大は間違いなく予選を通過する」

と確信を持った。練習の結果から導き出される予測。そこに余裕があったのだ。

 レースでは舟津、堀尾に加えて中山顕(3年)が日本人先頭集団でレースを進め、この3人が59分台でゴール。中大の8位までが60分台でまとめ、余裕の予選会通過となった(中山がいい。本戦では主要区間を任されるであろう彼がポイントになるはずだ)。

【次ページ】 「戦えない状況を誰が作っているか」という厳しい言葉。

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