箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
箱根駅伝オリジナル4の2校が本気に。
筑波と慶應が目指す24年ぶりの箱根。
text by
神津伸子Nobuko Kozu
photograph bySports Graphic Number
posted2017/10/12 16:30
慶應大が箱根駅伝に出場すると、実に24年ぶりとなる。知名度、資金力は有数なだけに、伸びしろは大きい。
2校が箱根に出場したのは、20年以上前のこと。
だがプロジェクト開始以降も、予選会での成績は順調に伸びているとは言いがたい。
筑波大 慶大
16年 24位 28位
15年 22位 31位
14年 21位 32位
13年 24位 28位
12年 24位 28位
11年 26位 23位
歴史を振り返ると、筑波大と慶應大の優勝は1回ずつ。本戦出場回数になると、筑波62回、慶應30回と大きく差が開く。共に最後に箱根の本戦に出場したのは、1994年70回記念大会で、成績は筑波が20位、慶應義塾が19位だった。
そんな2校は、オリジナル4の復活プロジェクトということをお互いに意識し合っているのだろうか。
「基本的な思想は同じだと思いますが、今は自分たちの事で精一杯で、慶應さんの事を考える余裕はありません。いつの日か、文武両道の大学同士で競い合えたら最高です」と、弘山。
「意識しないと言えばウソになります。あちらは国立、こちらは私学の雄。お互い文武両道、学生スポーツの本道を貫いてそれぞれの手法で箱根を目指せたら」
慶應義塾の蟹江憲史プロジェクトリーダーは、こう語る。蟹江自身も競走部のOBで、在学当時に出場は叶わなかったが、箱根駅伝本戦を体験している。
「当時箱根を目指した選手・スタッフファミリーの同じ釜の飯を食う的な一体感は、後にも先にも無いと思う。何としても再びあの高揚感を、今の学生たちにも味わわせたい」
どちらの指導者も、箱根を4度走ったスター選手。
両校の指導者も興味深い。
筑波の弘山は、筑波大陸上競技部OB。4回連続で箱根駅伝に出場し、区間2位も獲得。資生堂ランニングクラブでコーチ、ヘッドコーチ、監督を歴任。マラソンランナー、妻・弘山晴美のコーチでもあった。
「本学ではアシスタントコーチもいなければ、マネージャーもいないし勧誘担当もいないので、1人で何役も担っている。学生の指導だけではなく、支援要請のためにOBOG訪問をし、高校生のスカウトに行き、シューズの発注からホームページの更新などありとあらゆる仕事があり、会計業務までしている。実業団にいた頃からは想像できないほど忙しいが、人生で最も充実した日々」と話す。
一方、慶應大が現場強化のために招いた長距離専任コーチの保科は日体大OBで、箱根に4回連続出場。個人でも関東インカレ優勝、ユニバーシアード入賞などの実績があり、日清食品グループにおいてニューイヤー駅伝も優勝している。
スカウティング、情報発信などに競走部のOB網を巡らすチームの慶應義塾に対し、孤軍奮闘する筑波という印象だ。