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サッカー&将棋有望株、独占対談!
中村航輔×中村太地の「勝負師論」。
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byKenji Iimura
posted2017/07/28 11:15
サッカーと将棋。一見すると全く共通点のなさそうな競技だが、真剣勝負という場でのやり取りは相通じるのだ。
航輔選手、うまく将棋で喩えてくれますね(笑)。
――GKは守備陣をコントロールして失点を防ぐ仕事もあると思います。読みや狙いがうまくハマって守れたときは気持ちいいものですか?
航輔:そうですね。サッカーは基本的には理想通りにはならないんです。だから自分にとって未知の局面にうまく対応できた時の方が、自分の中で「上手く守れたな」と感じますね。例えばディフェンスがそろっていない、将棋で言うと、囲いができていない状態でもGKは守らざるを得ない時があります。それこそ、金と銀1枚ずつで守らなきゃいけない状況とかですね。
太地:うまく将棋で喩えてくれますね(笑)。
――航輔選手はシュートストップについて高い評価を受けることが多いですよね。囲いができていない局面で守っているような状態かもしれません。
航輔:ギリギリの状況で止めているように見えるかもしれませんが、僕の中ではギリギリという印象はないこともあります。相手が金3枚持っていても、下がって守っておけばいいんでしょ、というか。読み切ったシーンについて試合後に「ギリギリでしたね」って言われても「まあ……はい」みたいな受け答えになっちゃうことはあります(笑)。
太地:航輔選手も話してくれたような状況は将棋でもありますね。「これ、玉が危ないんじゃないの?」って思われるかもしれないけど、読み切っているから全然大丈夫という。
相手が何をしてきても自分は対応しますよ、という形。
――今シーズンだと清武選手のコースが変わったシュートを片手で防いだシーン(第10節・セレッソ大阪戦)が有名ですが、あれも読み切っていた?
航輔:“想定外を予測している”というか……。正直サッカーって何が起こるかわからないスポーツなので、「何かわからないことが起きるんだろう」と思って臨んでいます。相手か味方にボールが当たったりして飛んできますからね。言葉的には想定外になるのかもしれないですが、それも想定できればと心がけています。
太地:今、航輔選手は22歳ですけれど、成長が右肩上がりに感じます。サッカーは肉体を使う競技ということもあって“自分のやりたいこと”と“能力的にやれないこと”の差があると思うんですが、やれることが増えている実感はありますか?
航輔:そうですね、幅は少しずつ広がってきているかなと思います。前までは自分の得意な場面に持ち込むことが多かったんですが、今は相手が角交換してきたら……あ、これサッカーの話ですよね(笑)。角交換のように相手から仕掛けてきたら、相手にまずやりたいようにやらせる感じです。もちろん状況次第で判断は変えますが、基本的には相手が何をしてきても自分は対応しますよ、というスタンスでいます。