話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
練習環境すら転々、J2讃岐の苦悩。
「このクラブを潰しちゃいけない」
posted2017/07/29 07:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
「今年はこんな試合ばっかりで申し訳ない」
東京ヴェルディに3-3で引き分けた後、カマタマーレ讃岐の北野誠監督は悔しさを噛み締めて、そう言った。
開幕前の目標はプレーオフ進出の6位以内だったが、前半戦は2勝7分12敗の20位。後半戦に入っても、東京ヴェルディ戦まで3試合を終えて1分2敗で21位(2勝8分14敗・勝ち点14)。J2残留となる20位のレノファ山口FCとは勝ち点差が5と、非常に厳しい状況に置かれている。
「6連敗ですが……」と聞かれると「負けじゃない!」
ヴェルディ戦は今季のチームを象徴しているようなゲームだった。
前半の内に先制点、追加点といい形で奪い、2-0のまま前半を終えていれば――攻守ともに機能不全に陥っていたヴェルディに相当厳しい展開だったはずだ。
しかし前半44分、最終ライン裏のスペースを突かれてアンラッキーな形で失点。すると後半は防戦一方となって2-2とされた。それでも後半37分には、馬場賢治の縦パスから右サイドバックの武田有祐が低いクロスを上げ、ファーサイドで西弘則が3点目を決めたが、直後にまた追いつかれる。6月11日ツエーゲン金沢戦以来の勝利を挙げることができなかった。
試合後、北野監督は失点のシーンを冷静に振り返りながらも「攻撃はやりたいことはできている。ゲーム自体は悪くなかった」と一定の評価を下していた。ところが質疑応答の中、ジェフユナイテッド千葉戦からの勝てない流れを指摘され、「6連敗ですが……」と聞かれると「負けじゃない」と声を荒げて言い返した。
驚いたのは、そこからチームの内情について話をし始めたのである。