月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
「実はおちゃめ」森繁和監督を読む。
プチ鹿島5月のスポーツ新聞時評。
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byKyodo News
posted2017/05/31 17:30
「とんでもないことが起きるかもな……」と最下位からの逆襲をほのめかしたこともある森監督。まだまだ諦めてはいない!
負け試合でもファンが読みたくなる「推しスポーツ紙」。
中日OBで評論家の立浪和義のコラムタイトルは「できることを確実に」。なんとも……。
5月7日「6連敗……借金10……竜の光明」
暗い試合が続く中で「竜の光明」とは小笠原慎之介だった。
「今季初登板1イニング0封 小笠原先発OK」
昨秋に左肘を手術した2年目の小笠原投手が今季初登板したのだ。
《苦々しい空気が一瞬、パッと華やぐ。場内アナウンスとともに沸き立つ拍手。小笠原が8回のマウンドに上がる。8カ月ぶりに味わう1軍の重みに「緊張し過ぎて何も感じなかった」。今季初登板を無事に終え、そう苦笑いした。》
苦しい時こそファンに希望を伝えなければならない。負けた試合でもファンが読みたくなるのが推しスポーツ紙の使命なのである。
実は私、昨年からずっと「気になるおじさん」として注目してるのが中日ドラゴンズの新監督・森繁和氏なのです。
やり手感がハンパないからだ。
「そこまで我慢した、オレがヒーローです!!」
名参謀役が、監督代行の立場から正式に監督になった。若手の大化けを見るのも楽しみですが、「おじさん」のさらなる進化をみるのも野球というジャンルの醍醐味。それなら今見ておくべきは森繁和なのである。
顔がコワモテで「ザ・おじさん」なのも、若い監督が多いセ・リーグの流れに逆行していていい。顔は怖いけどホントは若手の心を掴むのもうまそうなのがいい。マスコミウケする発言も多いので見逃せない。
トーチュウには監督談話をまとめた「森繁和トーク」というコーナーがある。
5月13日の試合は3連敗寸前の9回にビシエドが逆転3ランを放ち、勝った。こういうときは翌日はさっそく「森繁和トーク」だ。
《あ、勝ったの? 今日(笑)。俺はいつも負けているみたいな感じでいるから(この日の)真中監督の気持ちはわかるよ。》(5月14日)
たまらないコーナーです、これ。
5月27日 「竜4連打 9回2死走者なしから サヨナラ」
この試合もミラクル逆転勝ち。少しずつドラゴンズに明るい兆しが。「森繁和トーク」はどうか。
《きょうはみんながね、誰がヒーローとかっていうより、そこまで我慢した、オレがヒーローです!!》
サービス精神旺盛のやり手おじさんもノッてきたぞ。