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「実はおちゃめ」森繁和監督を読む。
プチ鹿島5月のスポーツ新聞時評。

posted2017/05/31 17:30

 
「実はおちゃめ」森繁和監督を読む。プチ鹿島5月のスポーツ新聞時評。<Number Web> photograph by Kyodo News

「とんでもないことが起きるかもな……」と最下位からの逆襲をほのめかしたこともある森監督。まだまだ諦めてはいない!

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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Kyodo News

 先月のこの連載コラムで、「たまには巨人ファンは『デイリースポーツ』を、阪神ファンは『スポーツ報知』をチェックしてみるとよいのでは?」と提案しました。相手側から見た自チームの選手の評価が「必要最小限のシンプルさ」でわかりやすく書かれているからだ。情報が少ないぶん、的確に書かれている面白さがあると。

 今月は「チームが好調な場合と不調な場合、推しスポーツ紙からどれだけ喜怒哀楽が伝わってくるか」というウオッチをしてみます。ますはデイリースポーツ。

 阪神は開幕から好調。

 ゴールデンウィークの5月6日には、9点差をひっくり返して首位に躍り出るという「神」がかった試合を見せた。翌日のデイリーはお祭り紙面。

 1面見出しは「猛虎最大の逆転 単独首位」「奇跡が起きた!! 0-9から」「金本監督『驚き』12年ぶりVあるで~」(5月7日)

 本文の出だしは「歴史的大逆転劇に、甲子園が震えた」

 いいです、この大仰さ。勝った日ならではの特権だ。

 終面には「ゴールデン梅ちゃんウィークや V撃」という、梅野隆太郎捕手の活躍を伝えるトドメ。

ぜんぶひらがなでかかれたきじも。

 梅ちゃんと言えば、その前日の紙面も工夫をこらしていた。

「こどもの日に痛快逆転 うめのV撃 きょう奪首や」(5月6日)

 なぜ「うめの」かと言えば、こどもの日にちなんで甲子園のスコアボードが平仮名で書かれるという演出がされたのだ。その企画に新聞も乗ったのである。デイリーのWEB版はさらに茶目っ気を出してすべて平仮名で速報していた。

「こうしえんのスコアボードがひらがなに こどものひ」(2017.5.5)

《「はんしん-ひろしま」(5にち、こうしえんきゅうじょう)

 こどものひにちなみ、こうしえんのスコアボードが、がいこくじんせんしゅをのぞいて、ひらがなでかかれました。「とりたに」「いとい」など、ふだんとはちがうかきかたに、ファンはおおよろこび。》

 すごい。これだけ平仮名オンリーだと壮観だ。こういう遊び心はいい。

 ついでにいうとこの平仮名だらけ、私は少年時代に新聞で見た「グリコ・森永事件」の犯人からの挑戦状も思い出した。私の世代の衝撃の「平仮名」でした(※余計なことも思い出してしまいました)。

【次ページ】 「ありがとサンデー」と喜び溢れる紙面のデイリー。

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