プロ野球亭日乗BACK NUMBER
再び訪れたMLB移籍の“黒船”。
NPBは不平等条約を結ぶな!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2017/05/18 07:00
WBC欠場、シーズン序盤での故障と厳しい時期が続いている大谷。だが、その選手としての器は海を越え、世界的評価が定まっている。
海外FA権取得まで9年というのはさすがに長過ぎる。
移籍した翌年オフでの契約条件に満足できない選手や、特定の球団でのプレーを希望する選手には一定の日米合算年数でFAの権利を与える。
そうすれば、選手はそれほど長くない期間で希望条件を提示する球団でのプレーも実現できることになるはずだ。
一方、メジャー移籍が球団主導で行われるのが嫌な選手は、FA権取得まで待てばいい。
ただし現行の海外FA権の取得まで9年というのはあまりに長過ぎるので、1、2年の短縮は時代の流れだろう。
国内FA6年、海外FA7年というのが現実的な気がするが、ここまで短縮するのであれば、ドラフトは完全ウエーバー制度を導入して、入り口と出口で選手の権利と球団の平等性を担保する必要があるかもしれない。
MLBは25歳以下の海外選手の契約金を制限し始めた。
実は大谷のメジャー移籍を背景とした今回のポスティング制度の改定には、もう1つ、表裏一体となるMLBの新しい制度改革がある。
MLBは昨年12月に、25歳未満の海外選手との総契約金を最大575万ドル(約6億4400万円)とすることを決め、大谷も例外でないという見解を示している。
日米間でのトレードが認められれば、メジャーの球団は新たな選手との契約金は不要で、日本での年俸を引き継ぐことになる。それなら移籍の際には、ほぼこの新規定内に収まることになるはずだ。ただし、2年目には相応の契約に更新されることで選手の移籍メリットも確保できるようになる。