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UAE戦、福西崇史の一段階深い分析。
縦横無尽の今野、ただ香川は……。 

text by

福西崇史

福西崇史Takashi Fukunishi

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2017/03/24 14:15

UAE戦、福西崇史の一段階深い分析。縦横無尽の今野、ただ香川は……。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

追加点に中盤でのボール奪取。出色のプレーだった今野と、無得点に終わった香川をどう絡み合わせるか。今後のハリルジャパンのテーマになるかもしれない。

「インサイドハーフ」として攻守に動き回った今野。

 本人は「ボランチよりもインサイドハーフのような意識」でプレーしたと言ってましたが、守備時は山口とダブルボランチのような形になってボールを奪いに行ったり、攻撃の場面では運動量を活かして前線へと追い越す動きを見せました。守備をしてから一気にペナルティーエリア内に入り込んでいった、後半の追加点が分かりやすいシーンですよね。

 長谷部がケガで不在となった中盤ですけど、結果的にこの試合では山口と今野の起用がハマったのは間違いない。

 ただこの並びの中で、香川が本来の良さが活かしきれなかった、というのはあります。

香川らしいコンビネーションが生まれないジレンマ。

 香川はここ数試合ドルトムントでフル出場していることもあり、コンディション自体は良かったと思います。ただこの日の試合では中盤にパサーがいなかったぶん、香川が低い位置で組み立てる場面が目立っていた。特に先制した後はチーム全体が前へ急ぎすぎないように、ボールをサイドに散らしたりしてゲームをコントロールしていた。

 こういったプレーは香川がちゃんと試合状況を理解していた証拠なんですけど、ゴールに近い位置で大迫や久保、原口と近い距離感を取ってコンビネーションで崩すという場面はほぼなかった。

 それもあってハリルホジッチ監督が1人目の交代で香川に代えて、攻撃と守備両方で動き回れる倉田をピッチに送り込んだんですよね。香川本来の良さを活かすという部分では、このチーム構成だともう少し詰めていく必要があるのかな、とも思います。

 そういった細かな面はありますけど、冷静に相手を分析しつつ、整理して戦っていたということでは、評価できる試合内容だったと思います。カウンターを狙いつつも、つなぐべき時間帯ではボールをつなぐなどメリハリをつけていて、要所要所で経験値の高さを感じさせましたよね。アウェーでもプラン通りの展開で勝てたのは、チーム全体の自信にもつながっていく。それは過去の予選を振り返っても言えること。

【次ページ】 “立ち戻れる場所”ができたことは何よりも大きい。

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