福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
UAE戦、福西崇史の一段階深い分析。
縦横無尽の今野、ただ香川は……。
posted2017/03/24 14:15
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph by
Takuya Sugiyama
UAEは日本のパスワークを恐れたのか、ピッチの横幅を2mほど狭めていましたけど、この日の試合では、日本にとっていい方向に働いたかなと感じました。
中東のチームは伝統的に、前線に速い選手を置いたカウンターで勝負することが多い。ただUAEはむしろ逆で、後ろからボールを持って組み立てていくスタイルなんですよね。実際に日本戦でも、支配率は日本より上回っていたんですよね(支配率はUAEの57.6%に対して、日本は42.4%だった)。
前回の対戦で2得点を取ったFWのハリルが欠場したこともあって、UAEはオマル・アブドゥルラフマンのゲームメーク次第、という感じでした。オマルは最初こそ右サイドの2列目にいて中央に入り込んできたけど、今野、そして左サイドの原口と長友がしっかり監視して自由を与えなかった。
オマルを今野、長友、原口がきっちりと監視した。
その中でもオマルはボールキープの上手さを見せる場面はありました。でもボールをもらいたがって引いてくるぶんだけ、ゴールから近い位置でプレーすることはほとんどなかったですよね。
彼らのマークを嫌がって、オマルは中央や左サイドに流れる場面が増えていって、それによってUAEの全体的なバランスが崩れていった。そして最初に言った通り、ピッチが狭かったことでUAEはパスも回しきれなくなって、日本としては激しい守備からのカウンターというゲームプランがハマっていきましたね。
その中で特に、今野が素晴らしい働きぶりを見せたのは間違いないです。もしかしたら「ザックジャパンの時、今野ってセンターバックじゃなかったっけ?」って思う人も多かったかもしれないですけど(笑)、本来はボランチがベストのポジションですからね。