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長野から、なでしこのエースへ――。
進化し続けるストライカー・横山久美。
posted2017/03/25 11:30
text by
松原渓Kei Matsubara
photograph by
Kei Matsubara
リオデジャネイロ五輪アジア最終予選で、なでしこジャパンが敗退してから、丸1年が経った。
ワールドカップ優勝(2011)と準優勝(2015)、オリンピック準優勝(2012)など、数々の栄光とともに8年間、なでしこジャパンを率いた佐々木則夫監督が予選敗退後に退任し、新たな指揮官に高倉麻子監督が就任したのが昨年4月。
現在、なでしこジャパンは、2019年のフランス女子ワールドカップと2020年の東京オリンピックでの世界一を目指し、新たなチーム作りの最中である。
今年の3月上旬にポルトガルで行われたアルガルベカップは、高倉麻子監督の体制下で臨む初の国際大会となった。結果は2勝2敗で、12チーム中6位。スペイン、アイスランド、ノルウェー、オランダを相手に、8日間で4試合をこなす過密日程の中、高倉監督は1試合ごとにメンバーを入れ替えて様々なコンビネーションを試した。選手はトライ&エラーを繰り返しながら多くの収穫と課題を手にした。
重要な場面で、パスミスやトラップミスからピンチを招く場面が何度かあり、今後、競った試合で勝ちきるための課題もあったが、一方で、大会を通じ目に見えて成長した選手もいた。
特に大きなインパクトを残したのが、FWの横山久美である。
今大会、横山は4試合で4得点。デンマーク代表のFWペルニーレ・ハルデルと並んで得点女王に輝き、なでしこジャパンの新エースに名乗りを挙げた。
代表のエースへの成長には、長野パルセイロでの日々が。
高倉監督がFWに求める要素の1つは「ペナルティエリア内で、個人で点が獲れる」こと。その点において、横山は現在、国内ではトップクラスのFWだ。あらゆる角度、体勢からゴールを決められるのが強みでもある。
初めて代表に選ばれた2015年以降、代表における横山の役割は、途中出場で流れを変えるスーパーサブだった。しかし、今大会では初戦を除く3試合に先発し、ノルウェー戦とオランダ戦ではフル出場した。
佐々木監督時代のリオデジャネイロ五輪アジア最終予選では、最年少で代表メンバーに選出され、5試合で2ゴール。しかし、日本はオリンピックに出場することができなかった。
あれから1年――。
現在23歳の横山が、この1年間に示した目を見張るような成長ぶりは、所属チームであるAC長野パルセイロ・レディース(長野L)での日々とともにある。