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吉田麻也、“ミスター6/10”払拭なるか。
マンU相手に「タイトル倍増チャンス」。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2017/02/25 11:30

吉田麻也、“ミスター6/10”払拭なるか。マンU相手に「タイトル倍増チャンス」。<Number Web> photograph by Getty Images

プレミア5年目にして大舞台に挑む吉田。ユナイテッド相手に勝利して、岡崎に続くタイトル獲得を成し遂げたい。

時折のミスはあるが「弱点」とは言われていない。

 吉田は組織の中で効果的に守れるとはいえ、引き抜きの噂が絶えないファンダイクや、既に引き抜かれたデヤン・ロブレン(現リバプール)のように単独で危険を阻止できるタイプではない。加えて、時折しでかしてしまうミスや、SB起用で苦戦した昨季の姿がマイナスの印象を与えている感も否めない。

 ただ吉田と23歳のジャック・スティーブンスのCBコンビは、メディアで「弱点」と言われているわけではない。逆に使える「代役」として評価されているほどだ。

 もちろん、吉田自身が地元紙『デイリー・エコー』で語ったように、スティーブンスとの「問題のない呼吸」が生まれているのは確か。それ以上に穴が指摘されない最大の理由は、失った個のクオリティを集団として補うピュエル采配だろう。

リバプール相手に2試合連続の1-0が自信に。

 最たる例が、カップ戦でリバプールとの準決勝だった。前述の通り第1レグを前にフォンテが移籍を志願し、第2レグを前にファンダイクが離脱を余儀なくされた。にもかかわらず、ピュエルが現実に即した戦い方を授けたチームは、リバプール攻撃陣に時間とスペースを与えず、カウンターに勝機を見出した。

 その結果、2試合とも1-0で勝利。見た目こそ美しい戦い方ではなかったが、見応えのある戦いを見せた。

 プレッシングの強弱などの違いはあるが、やはりユナイテッドがボール支配と攻勢を意識してくると思われる決勝戦でも、同様のスタイルを貫くべきだ。そこでキーマンと目されるのが中盤中央のオリオル・ロメウ。果敢なプレッシングと賢明なパスカットを繰り返すMFは、サウサンプトンがリバプールに勝てた理由を最も体現した選手だった。

 吉田が決勝切符と共に「収穫」として挙げた無失点の背景にも、相手ボール時には素早く下がって最終ライン手前で盾となっていたロメウの貢献がある。

【次ページ】 サウサンプトンは2週間、調整と準備に充てられた。

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