月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER

稀勢の里の横綱昇進でブレる初場所。
プチ鹿島、1月のスポーツ新聞時評。 

text by

プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

PROFILE

photograph byHideki Sugiyama

posted2017/02/01 17:00

稀勢の里の横綱昇進でブレる初場所。プチ鹿島、1月のスポーツ新聞時評。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

横綱昇進の祝いに大盃を抱えた稀勢の里。来月の春場所でも、横綱としての強さを発揮できるか。

今場所の稀勢の里を信じ始めた、12日目。

 12日目。「稀勢の平常心 1敗死守!! さあ“魔のラスト3日”突入」(スポニチ・1月20日)

 ご丁寧にも「稀勢の里は優勝争いの残り3日間でことごとく失速してきた」と解説。力が入っている。

 1面でまた「1敗守った!! 稀勢 初VへM3」「4年半ぶり12日目単独首位」ときたのは日刊スポーツ。

《連日、歓声と悲鳴が交互に飛び交う。ファンにとっては心臓に悪い。だが、そこで負けないのが、今場所の稀勢の里》

 今場所の稀勢の里を“本当に”信じ始めてきた模様である。

 サンスポ「記者の目」は、

《現時点で稀勢の里の横綱昇進に関しては、「優勝」以外の明確な指針や言葉が出ているわけではない。だが、昇進への「機運」が高まりつつあるのは誰も否定できないだろう》
 出ました「機運」というキーワード。横綱昇進ムードは「12日目終了 稀勢の里11勝1敗」あたりから漂い始めていることがわかる。

 もうひとつサンスポで注目すべきは、横審・守屋委員長の昨年末のコメントをおさらいしていることだ。

《「来場所で優勝しても、もろ手を挙げて賛成とはならない」と慎重な姿勢をみせていた》

 先場所このように発言していた人がこのあとどう変化していくのか。

「精神的には強いんじゃないか」(守屋秀繁委員長)

 13日目。稀勢の里、不戦勝で12勝1敗。

「残り2日」の時点で単独トップは初。

《横綱審議委員会の守屋秀繁委員長は「精神的に弱いと言われているが、ここ3年くらい、持ちこたえて我慢している。精神的には強いんじゃないか」と新たな? 見解を示し、その上で「(2横綱不在は)稀勢の里は悪くない」と、判断の妨げにはならないとした》(日刊スポーツ・1月21日)

 なんだか急に守屋委員長の発言が怪しくなってきた。「精神的に弱いと言われているが、ここ3年くらい、持ちこたえて我慢している」って、まったく意味不明のコメントである。

「来場所で優勝しても、もろ手を挙げて賛成とはならない」と言っていた人が明らかにムードに押し流されている様子がわかる。

【次ページ】 横綱昇進に舵を切ったタイミングを分析すると……。

BACK 1 2 3 4 5 NEXT
#稀勢の里
#隆の里
#貴乃花
#白鵬
#日馬富士
#豪栄道

相撲の前後の記事

ページトップ