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遅咲きの新関脇・玉鷲と“大相撲戦国時代”の到来。~白鵬一強時代を終わらせるのは若手だけじゃない~
text by
佐藤祥子Shoko Sato
photograph byKYODO
posted2017/01/12 09:00
昨年九州場所初日に日馬富士に快勝した玉鷲。その強烈な突き押しが評価され技能賞を獲得。
2017年の大相撲初場所が幕を開けている。注目のひとりは、32歳の新関脇として土俵に上がっているモンゴル出身の玉鷲だ。初土俵から77場所を掛けての関脇昇進はスロー出世記録として史上5位タイ、外国出身力士では単独1位だが、昨年納めの九州場所では押し相撲が冴え、1横綱3大関を倒して初の三賞も受賞した。「横綱・大関を倒したことよりも、小結で勝ち越せたことが何より自信になった」と眼を細める。
土俵を下りれば茶目っ気たっぷりで、常に周囲を笑わせる明るいキャラだが、再小結として挑んだ先場所で勝ち越しを決めた日には、安堵とうれしさのあまり目を真っ赤にし、涙を浮かべていたものだった。それもそのはず、'15年3月の新小結昇進の際は、4勝11敗と上位の壁に阻まれたが、その雪辱も果たせたのだ。