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稀勢の里の横綱昇進でブレる初場所。
プチ鹿島、1月のスポーツ新聞時評。
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/02/01 17:00
横綱昇進の祝いに大盃を抱えた稀勢の里。来月の春場所でも、横綱としての強さを発揮できるか。
横綱昇進に舵を切ったタイミングを分析すると……。
この時点で審判部の友綱副部長(元関脇魁輝)は「薄いのは薄い。白鵬を倒さないと前に進まない話」とコメント。こちらは冷静だ。
14日目。稀勢の里が1敗を守り、白鵬が敗れて3敗となったため、遂に稀勢の里の初優勝が決まった。
「稀勢 美しき涙」「苦節15年 あと一歩の連続 耐えた分 心打つ 一筋の滴」「所要89場所やっとやっと」(日刊スポーツ・1月22日)
「初 稀勢が!!」「“準V”12回 長かった13年…男泣き」(スポニチ・同)
では横審はどう反応したか?
「綱『よろしいのでは』勝ち数こだわらない!! 横審・守屋委員長は軟化」(スポニチ・同)
《明日勝って14勝にした方がいいけれど、そんなに重要視しなくてもいい状況でしょう。よろしいじゃないかと思います》
なんとここにきて守屋委員長は“千秋楽の結果を問わず”“白鵬に負けても”“13勝2敗でも”横綱昇進でよいと言い切るのである。
《守屋委員長は今場所の稀勢の里の横綱昇進にハイレベルの優勝を求めた。13日目終了時点でも「13勝の優勝では(議論が)難しいところ」と話していた。そのハードルは祝賀ムードもあってか一夜にしてダウン。「14勝した方がいい」と前置きした上で「もう優勝が決まった。千秋楽の結果は重要視しなくていい状況になったのでは」と話した》(日刊スポーツ)
守屋委員長フワフワしすぎ! スポーツ新聞を読みなおすほど横綱審議委員会とは何なのか? と感じる。
横審が決め手とした要素は何だったのか?
今回、優勝1回でも昇進の決め手となったのは「稀勢の里は昨年の年間最多勝を獲得した」ことが大きいとされる。
《「1年間安定した成績」が「連覇ノルマ」を崩した》と「スポーツ報知」は相撲協会内の事情を書いた(1月23日)。
では協会や横審は、場所前に年間最多勝アドバンテージを周知しておいたほうがわかりやすかったのでは? と、今こうして報道を振り返ると思う。