“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
来年度の高校サッカーの主役に!
2年生有望株5人が語った将来図。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTadakatsu Matsuzaka
posted2017/01/19 07:00
最終ラインを統率した前橋育英の松田(5番)。前橋育英のOBで、奇しくも同じ苗字の松田直樹氏のような存在感を身につけられるか。
東福岡CB阿部海大は鹿児島城西・生駒をライバル視。
準々決勝で涙を飲んだ東福岡。J内定トリオの調子が上がらず、本来のサッカーが出来ないまま連覇の夢は潰えたが、2年生CB阿部海大の存在感は非常に際立っていた。
阿部は身体能力に優れ、出足の速さと対人の強さを駆使した守備を見せる。またスピードがあり、カバーリングの質も高い。春先に彼を見た時は、どこか遠慮がちでプレーが萎縮してるように見えたが、今大会の彼はまるで別人のように、堂々と自分のプレーを見せていた。
「選手権予選決勝の九州国際大附属戦で自分のプレーに勢いと言うか、自信が持てたんです。それまでは昨年からのレギュラーの3年生が沢山いて、凄く萎縮している自分がいました。言われたことだけをやって、自由に出来ていなかった」
苦しんでいた1年間で、ようやく自分に自信が持てた瞬間だった。今大会で彼が掴んだのは、自分を堂々と表現することの重要性。3回戦の鹿児島城西戦では、3年生に「セットプレーのときは、(プロ注目の2年生CBの)生駒仁をマークさせて下さい」と直談判し、「生駒には絶対に負けたくなかった」と気迫のプレーで完封勝利に貢献した。
「3年生にもどんどん意見を言えるようになって、自分の得意のインターセプトや対人、カバーリングが凄くスムーズに行くようになった。目標にするプロの世界は自分を出さないといけない世界なので、もっと自覚と自信を持ってやっていきたい」
萎縮は敵。阿部は来年、『赤い彗星』を牽引して行く存在になることを誓った。
山梨学院・加藤は今大会1秒もピッチに立てなかった。
前出の4人は選手権のピッチに立ってプレーし、そこで苦い経験を味わえただけ、まだ幸せかもしれない。山梨学院の2年生エースストライカー加藤拓己は、1秒もピッチに立てないまま、選手権を後にした。
加藤は屈強なフィジカルとスピードを駆使し、ゴール前をパワーとテクニックこじ開けられるストライカー。競り合いを得意とし、「『俺、ヘッド強いよ』と言っているような選手にヘディングさせたくない。そこの選手を叩き潰すくらいの強さを示したい」という負けん気も魅力だ。
彼は一昨年にU-16日本代表、昨年にU-17日本代表に選ばれた存在だったが、これまでの人生で一度も全国大会に出たことが無く、今大会が初めての全国だった。