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矢島慎也「正直、すごく悩んだ」
浦和復帰、柏木への挑戦が始まる。
posted2017/01/18 11:00
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
覚悟の帰還。
1月18日で23歳になる矢島慎也は腹を決めていた。
2シーズンに及ぶJ2・ファジアーノ岡山での武者修行を終え、今季、ジュニアユースから育ってきた浦和レッズに復帰。
レンタル期間終了による既定路線ではない。浦和との契約をまだ1年残し、本人次第で他の多くの違う道も選べることができた状況下での、「帰還」である。
ただ矢島自身、最後まで心が揺れたことは吐露している。
「正直、すごく悩んだ」
岡山で成長していく姿を観察していたのは、親元の浦和だけではない。J2をつぶさにチェックしていたガンバ大阪からも高く評価され、今オフには正式な獲得オファーも届いていた。ここ2シーズンの矢島の働きぶりを見れば、驚くことではない。
岡山では2016年から10番を託され、クラブ史上初となるJ1昇格プレー決勝進出に貢献し、悲願まであと一歩に迫った。
年代別代表のプレーも十分にインパクトを与えた。
リオデジャネイロ五輪ではアジア予選からチャンスメーカーとなり、宿敵の韓国戦では1ゴール1アシストと主役の働き。「メンタル面で成長できた」と満足げに予選を振り返り、本大会でも全3試合に出場してゴールもマークした。
移籍先の優先順位が、出場機会ではなくなった。
プロサッカー選手として、生きていく自信を付けた。
だからこその葛藤だった。
G大阪には持ち場となるボランチ、サイドハーフに代表レベルの選手がそろっており、「移籍しても(浦和と)立ち位置は変わらなかった」と自覚している。それでもチャレンジするかどうかで熟考した。ハイレベルなポジション争いを勝ち抜き、高みを目指すために――。
以前のように出場機会を求めて、移籍先を探す気はなかったと言う。