「来年は残留争いだな」という言葉に奮起を。

　2年生ということもあって、最初は遠慮がちだった。しかし試合をこなすごとに逞しさを増し、発言にも変化が見られるようになった。そして選手権を終えたタイミングでは、優勝の喜びよりも、彼には来年への意志と自立が始まっていた。

「来年は先輩達が作った偉大な記録を超えられるようにしたい。当然（アンカーの住永）翔さんと（2シャドーでコンビを組んだ高橋）壱晟さんが抜けるので、僕が中盤を引っ張らないといけない。実は……先輩達に『来年は残留争いだな』と言われていて、その場では笑ってごましているのですが、やっぱり凄く悔しいです。絶対にやってやると思っています」

　選手権で掴んだ自我と自立心。来年は精神的に逞しくなった彼はさらに成長していくだろう。

前橋育英・渡邊泰基、松田陸の高いサイドバック適正。

　そんな青森山田に対して、前橋育英は決勝で0－5というショッキングな敗戦を喫した。それでも「来年だね、来年はこの悔しさを持ってさらに強くなるよ」と山田耕介監督が語ったように、将来性のある2年生が貴重な経験を積んだ。

　中でもポテンシャルの高さを示したのはDF渡邊泰基、松田陸だ。

　今、Jリーグのスカウト陣の中で最も求められているポジションと言えるのが、両サイドバックである。Jクラブでも“生粋のサイドバック”は少なく、他のポジションからのコンバート組が多い。ゆえに高卒サイドバックの補強は、どのクラブもポイントの一つに置いている。

　現に今年度も左サイドバックを補強ポイントに挙げていたJクラブが多かったからこそ、桐光学園のタビナス・ジェファーソン（川崎フロンターレ入団内定）が京都橘・岩崎悠人（京都サンガ入団内定）以上の争奪戦になったのだ。

　渡邊は181cmの高さがあり、精度の高い左足を持つ左サイドバックである。松田は1年を通じてCB起用が中心だったが、弾く力と球際の強さ、前へのスピードと攻守に渡りハイスペックな能力を持ち、右サイドバックの目玉としてリストアップされている。

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