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1対1なしでボールを奪うのが最先端!?
29歳の監督がブンデスの文化を覆す。 

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遠藤孝輔

遠藤孝輔Kosuke Endo

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posted2016/11/22 11:30

1対1なしでボールを奪うのが最先端!?29歳の監督がブンデスの文化を覆す。<Number Web> photograph by AFLO

ジーンズ姿でコーチングエリアに立つ姿も、まさに若き改革者。まるで新興IT企業の代表のようだ。

1対1ではたいして勝たずとも、リーグでは3位。

 いい例が、ボルシア・メンヘングラッドバッハだ。ブンデスリーガ10節終了時点で、ツヴァイカンプフの1試合平均の勝率が18チーム中5位の51.2%を記録しながら、チームは順位表の下半分から抜け出せずにいる。インゴルシュタットとハンブルガーSVもツヴァイカンプフの勝率がさほど悪くない(前者が12位の48.9%、後者が11位の49.3%)にもかかわらず、それぞれ17位、18位と早くも残留を目標に設定しなければならない有り様だ。

 逆もまたしかりで、ホッフェンハイムは18チーム中9位の50.2%ながら、肝心のリーグ戦における順位は3位と大健闘している。勝利を収めた5試合のうち3試合は、ツヴァイカンプフの勝率が相手チームより劣っていた事実も見逃せないだろう。

 いわば“アンチ・ツヴァイカンプフ”の旗手であるナーゲルスマンは、テクノロジーの力を活用するなど、ジョゼップ・グアルディオラに通ずる、近代的で研究熱心な指導者でもある。クラブのメインスポンサーである『SAP』社(世界的なソフトウェア企業)が開発したデータ解析ソフトを用いながら、日夜トレーニングメニューの構築や対戦チームの分析に勤しんでいるのだ。

トレーニングにドローンを取り入れたのもドイツ初。

 今秋にはブンデスリーガのクラブでは初めて、トレーニングに「ドローン」を導入した。一般的なカメラでは撮りえない上空(最大60メートルの高さに達する)からピッチを俯瞰で捉え、選手の位置情報や空間の有無を把握すれば、練習の効率アップに繋がるかもしれないと思い至ったからだ。

 ナーゲルスマンは言う。

「内容の可視化によって、選手たちはより多くを、より速く学ぶことができる。体験して、映像を見て、また体験することが重要だ。今は(ドローンで)あらゆることを試している段階で、どういう効果が表れるか待っているところだ」

【次ページ】 大学で経営を学び、指導者ライセンストップ合格の秀才。

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