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重賞で今年5度目のワンツー決着。
エリ女もやはりデムーロとルメール。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byYuji Takahashi

posted2016/11/14 11:30

重賞で今年5度目のワンツー決着。エリ女もやはりデムーロとルメール。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

ウイニングランから口取り式まで、デムーロは京都でのGI初勝利をプレゼントしてくれたクイーンズリングをずっと愛おしそうになでていた。

マリアライトの6着は1コーナーの不利が全てだった。

 2着のシングウィズジョイも、名手クリストフ・ルメールにロスなく乗られ、ゴール直前まで大番狂わせをやってのけそうな勢いだった。休み明け3戦目で馬体に柔軟性が出て、力をフルに出せる状態にあったことが、パドックでのゆったりした歩様から伝わってきた。

 3着のミッキークイーンは地力の高さを見つけた。半年ぶりでなければ、と思わせる内容だった。ということは、次は今回以上のパフォーマンスが期待できる、ということだ。

 対照的に、本来の力をまったく出せずに終わったのがマリアライトだ。自身の状態がどうとか、展開がどうとかではなく、1コーナーで受けた不利が全てだった。騎乗した蛯名正義が「落ちるかと思った」と言ったほど大きな不利だった。

 JRAの裁決レポートにあるように、シャルールがわずかに内側に斜行したため、マキシマムドパリを介して、マリアライトは馬の間に挟まれる形になり、斜め後ろに弾かれて、3馬身ほど下がってしまった。ここでのロスは、3馬身下がったことよりも、バランスを大きく崩したことによる心身のダメージのほうが大きかった。

 乱されたストライドを元に戻そうとすることでも余計な負担がかかったわけで、そう考えると、よくぞ6着同着まで押し上げることができたものだ。並の馬なら、ふた桁着順に沈んでいただろう。

 弱かったから負けたわけではない。宝塚記念でドゥラメンテ、キタサンブラックといった牡馬の超一流馬を負かした力は健在、と見るべきだ。

種牡馬や生産者はばらけたが、騎手はいつもの2人。

 いつもGIが終わると、「またディープインパクト産駒の上位独占だ」とか「またノーザンファーム生産馬か」といった声が聞こえてくるのだが、今回はちょっと違った。1着から5着までの種牡馬を見ていくと、マンハッタンカフェ、ディープインパクト、ヴィクトワールピサ、スペシャルウィークとバラけた。生産者は、1、2、4着が社台ファーム、3着がノーザンファーム、5着が石川栄一氏。社台グループの強さは相変わらずだが、こちらも、いつもと印象が違う。

 しかし、1着デムーロ、2着ルメールというのは「またか」のパターンだ。今年のJRAの重賞では、フェブラリーステークス、中山記念、阪神牝馬ステークス、府中牝馬ステークスにつづく5度目。弥生賞はルメール、デムーロの順で決まった。

 これからは12月25日の有馬記念まで毎週GIがつづく。

 深く考えず「迷ったときはデムーロ」、「困ったときはルメール」、「難しそうなときはムーア」で買うほうが当たるような気がしてきた。

 話は少々戻るが、マリアライトの心身が無事であることと、特にビッグレースでは綺麗なレースになることを願いたい。

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ミルコ・デムーロ
クイーンズリング

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