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重賞で今年5度目のワンツー決着。
エリ女もやはりデムーロとルメール。
posted2016/11/14 11:30
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
3歳と古馬の「統一女王」を決める第41回エリザベス女王杯(11月13日、京都芝外回り2200m、3歳以上牝馬GI)を制したのは、ミルコ・デムーロが騎乗する3番人気のクイーンズリング(4歳、父マンハッタンカフェ、栗東・吉村圭司厩舎)だった。
首差の2着に12番人気のシングウィズジョイ、1馬身1/4差の3着は2番人気のミッキークイーン。連覇を期待されて1番人気に支持されたマリアライトは6着に終わった。
スタートで後手を踏んだクイーンズリングは、1000m通過1分1秒8という緩い流れのなかでも無理にポジションを上げず、中団の内で末脚を温存。直線で内を狙ったらシングウィズジョイに先に行かれ、外へ行こうとしたらパールコードとミッキークイーンがいたため、進路ができるのを待った。そして、前が開くと鋭く伸び、上がり3ハロンをメンバー最速の33秒2でまとめ、先頭でゴールを駆け抜けた。
テレビ中継と同じ角度のスタンドから見ていると、クイーンズリングは直線で他馬の間をジグザグに縫ってすり抜けたように見えたが、パトロールフィルムを見ると、そうではないことがわかる。
直線での攻防を正面から見ると、周囲の馬は左右に動いているが、クイーンズリングは、4コーナー出口で馬場の真ん中に持ち出してからは、ずっと真っ直ぐ走っている。
勝利騎手インタビューで、デムーロは進路を迷ったかのように話していた。それはしかし、彼の気持ちの中における迷いであって、コース取りそのものにほとんどロスはなかった。
実はデムーロにとって京都GI初勝利。
昨年、オークスで9着に敗れた理由のひとつに、距離が長かったことが挙げられた。今回もベストより長いと思われていたのだが、道中でも、直線入口でも、極限までエネルギーを溜めることでそれをカバーした。いつもながら、見事な騎乗だった。
意外にも、これがデムーロにとって、京都でのGI初勝利だった。これまで京都で17度GIに騎乗し、2003年の菊花賞では三冠制覇を狙ったネオユニヴァースで3着に敗れるなど、悔しい思いをしてきた。
騎乗予定だった桜花賞馬ジュエラーが出走を回避したことでクイーンズリングに乗ることになったというから、「競馬の神様」に味方されていたのだろう。