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グランパスに欠落した「リスペクト」。
本田、吉田、玉田らOBが今語ること。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/11/11 12:15
J2降格に伴って、大量の選手を放出している名古屋グランパス。来年クラブのレガシーを継ぐのは誰になるのだろうか。
「正直、名古屋にはまだ複雑な気持ちがある」
彼らの中には、不本意な形で名古屋を後にした者もいる。
ストイコビッチ監督体制で優勝を経験したチームは実力もピークを迎え、選手たちの年俸も高騰。クラブは財務改善を余儀なくされ、放出を決断せざるを得なかった。経営上、仕方のない判断だったのだろう。しかし、殊勲者たちへの配慮や尊重に欠けた放出だったことも確かだった。
当時の放出を主導したのは、久米氏らだ。そのため、今回の件と単純比較はできない。
1つだけ、言えることがある。
名古屋グランパスは、サッカークラブという組織が大切にしなければならない“何か”が、決定的に欠けているのではないだろうか。どの体制、時代にかかわらず、常にこの違和感がクラブにつきまとうのである。
「正直、名古屋にはまだ複雑な気持ちがある」
そう答えた選手は何人もいた。それでも、紛れもなく彼らは最後まで名古屋のJ1残留を願っていた。今は赤いシャツを着ていない選手たちも、れっきとしたクラブの財産。人のつながりを大切にしているのは、むしろ選手たち自身だった。
過去に名古屋には、日本サッカーを支え、代表する数多くの才能が在籍してきた。選手、監督としても在籍したストイコビッチはその最たる存在。さらには秋田豊や藤田俊哉といった、他クラブで最盛期を迎えた選手たちも次なる挑戦の場として名古屋を選択した。
そんなプロの鑑のような選手の背中を見て飛躍していったのが、現在日本代表で活躍する本田圭佑や吉田麻也。川島永嗣も、この地で楢崎正剛に追いつけ追い越せと汗を流した過去を持つ。
本田圭佑「落ちること自体はそんなに悪くない」
関わってきた選手たちが、今の名古屋の姿を嘆いている。
8日、日本代表に合流するために帰国した本田に、名古屋について話を聞いた。
「実際に僕が戦っていた(チームで)、そしてサポーターがそこにいる。そしてそこで自分の目の前で降格されるとなると、やはりすごく悔しくて、悲しい。今までJ2に落ちたことないですもんね。
でも、落ちること自体はそんなに悪いことではないんじゃないかと。1つの失敗の捉え方だと思うので、物事は。今後、今は落ちることで次の勢いになるという考え方で、自分は人生としてもそういう道を歩いてきた。名古屋もそういう時期にあると考えれば、この下降気味なところから、グンと一気に以前いた場所を超えていくような曲線を描けるか。実際にJ2に落ちて、今J1で結果を出しているチームはそういうところが多い」
彼は自分の真っ直ぐな生き様をなぞるように、古巣にもストレートな意見を語った。その直線的な物言いは逆に愛があり、聞けば聞くほどクラブ当事者にとっては耳の痛い言葉だったのではないだろうか。