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グランパスに欠落した「リスペクト」。
本田、吉田、玉田らOBが今語ること。

posted2016/11/11 12:15

 
グランパスに欠落した「リスペクト」。本田、吉田、玉田らOBが今語ること。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

J2降格に伴って、大量の選手を放出している名古屋グランパス。来年クラブのレガシーを継ぐのは誰になるのだろうか。

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西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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 8日、東京・羽田空港。

 昼過ぎに姿を現した田中マルクス闘莉王は、無念の表情を浮かべていた。

「何も出来ない状況が、悔しい。さみしい。心残りがある。正直、今の名古屋グランパスを仕切っている人たちは、何を考えているんだろうと。どこに向かって走ろうとしているのか。今いるクラブスタッフの多くも、上の人間がどう動こうとしているのかわかっていない。自分は去年限りで退団して、一度ブラジルに帰った。そして、また退団。6日に佐々木(眞一副会長)さんと話した時も言ったよ。『ちょっと、間違った方向に行っていませんか』と」

 決して語気を強めた語り口ではなかったのが印象的だった。もはや、怒りを通り越していた。

久米社長「すべてはフロント力の無さ」

 3日、名古屋グランパスはクラブ史上初の来季J2降格が決定した。今季から就任した小倉隆史前監督体制は、シーズン途中で頓挫。その後、ドラガン・ストイコビッチ元監督体制でコーチとしてチームを支えたボスコ・ジュロブスキー氏が監督に就任し、昨季限りでクラブを追われていた闘莉王を地球の裏側から呼び戻した。

 一時は降格確実と言われたチーム状況を上向きにし、勝負はリーグ最終戦までもつれた。しかし最後は力及ばず、15位の新潟と勝ち点で並びながら、得失点差で後塵を拝した。

 翌4日、久米一正代表取締役社長は進退伺(辞表)をクラブに提出。'08年にGMに就任して以降、'10年のリーグ初優勝など名古屋に栄光を導いてきた辣腕者。しかしその後は、膨れ上がった人件費を削減するために主力を大量放出するなど、ここ数年はチームの転落に伴いファンやサポーターからの批判の矢面に立っていた。

 3日の湘南戦後の挨拶では、スタンドから大ブーイングが飛んだ。頭を下げ、J2降格の責任を詫びる久米氏。その後に開いた会見でも、「すべてはフロント力の無さ。J2に降格させてしまった不名誉な歴史を作ってしまったことに深くおわびしたい」と、責任職に就く立場として潔く謝罪した。

【次ページ】 名古屋に吹き荒れた「0円提示」の嵐。

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