錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
再びのマレー撃破で、優勝を!
ファイナルズ、錦織圭の勝機を探る。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2016/11/11 12:30
今年の全米オープンでは準々決勝でアンディ・マレーを破ってベスト4まで進出した錦織。ファイナルズで、再びあの激闘を再現か。
ビッグタイトルへのモチベーションが高い錦織。
まず、チリッチがエースを務めるクロアチアは、今年デビスカップの決勝に残っている。
ただ、ホームのハードコートが舞台であり、状況はマレーのときほど難しくはなさそうだ。
もう1つ、ラストスパートで出場権を獲得したということ。甘い期待かもしれないが、そろそろ息切れがする頃ではないか。
今年はマスターズの初タイトルを獲得し、このあとさらにデビスカップの優勝までかかっているチリッチより、ここはビッグタイトルへの最後のチャンスにかける錦織のモチベーションが勝ると信じたいところだ。
チリッチとの対戦成績は7勝5敗だが、ウィンブルドンでの途中棄権を含めて2連敗しているのが、逆に発奮材料になればいいが……。
最後にワウリンカだが、対戦成績は2勝4敗で、最後の対戦である全米オープン準決勝でもワウリンカが勝利したのは記憶に新しい。ツアーファイナルズでは過去3年全てラウンドロビンを突破してベスト4に入った。ただ、最近の3大会ではベスト8が最高だ。また、数字で見る限りインドアが得意とはいえず、キャリアを通して55.6%という勝率は8人の中では下から2番目となっている。
インドアでの錦織の強さには定評がある。
錦織のインドアでの勝率の高さについては前回のコラムでも書いた通りで、3回戦で敗れたパリ・マスターズのあと若干勝率を下げたが、それでもキャリアを通しての73.2%、今季の76.9%はともに、グループの中ではマレーに次ぐ高さである。
「基本的にインドアでビッグサーバーとはやりたくないけど、太陽に当たらない分、体力の消耗が少ないという点はありがたい」と錦織が言っていたことがある。
全米でワウリンカに敗れた試合は、高湿度の中で体力が奪われたことが響いた。また、プレースタイル的にもドロップショットなど繊細なタッチを要するショットは、自然環境に影響されないインドアのほうが生かせると言われる。また、サーブ・アンド・ボレーヤーなどもインドアが得意だ。錦織はサーブ・アンド・ボレーヤーではないが、時に戦術として利用する。インドアでの勝率の高さはそういったところが要因か。