錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER

再びのマレー撃破で、優勝を!
ファイナルズ、錦織圭の勝機を探る。
 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byHiromasa Mano

posted2016/11/11 12:30

再びのマレー撃破で、優勝を!ファイナルズ、錦織圭の勝機を探る。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

今年の全米オープンでは準々決勝でアンディ・マレーを破ってベスト4まで進出した錦織。ファイナルズで、再びあの激闘を再現か。

現時点で最強のマレーとの対戦成績は2勝7敗。

 まず最強と見られているマレーとの対戦成績は2勝7敗。

 しかし錦織の2勝とは、最後の対戦となる全米オープン準々決勝、そしてインドアでの唯一の対戦である一昨年のツアーファイナルズのラウンドロビンである。

 今季、シーズン後半のマレーの勢いは確かにすさまじかった。

 全仏オープンの決勝でジョコビッチに敗れて以来、48試合中3試合しか負けていない。ただし、見過ごしてはいけないことはその48試合の中にトップ5との対戦が一度もないことだ。ここに、ウィンブルドン以降ロジャー・フェデラーが不在だったこと、ジョコビッチが手首の故障によって夏以降スランプに陥ったことによる、ツアーの混沌ぶりがうかがえる。そしてマレーが敗れた3試合の相手とは、錦織とチリッチとファンマルティン・デルポトロ。デルポトロは今大会出場していないが、たった3人のうちの2人が同じグループとは運が悪い。

 また、過去の実績を見る限り、マレーは決してこの大会が得意ではいない。

なぜマレーはファイナルズでいつも不調なのか?

 インドアでのマレーの勝率は8人の中でジョコビッチに次いで2番目だが、これまで7回の出場で決勝進出もないばかりか、ラウンドロビン敗退が4回ある(うち1回は途中欠場)。2回目の出場となった'09年から会場が上海からロンドンのO2アリーナに移ったが、ウィンブルドンでの経験を考えればプレッシャーが原因とは考えにくい。

「原因は1つじゃない。巡り合わせが悪いことが多かったんだ。たとえば去年はこのあとにデビスカップの決勝があった。しかもクレーコートでね。だからこの時期はクレーとハードの両方の準備をしないといけなかった。ケガをしていた年もあったし、また別の年は出場権をギリギリで獲得するのに疲れてしまった。今年は余裕をもって準備できているから、いいテニスで締めくくりたいね」

 マレーはそう説明し、シーズンのクライマックスへ抱負を語ったが、ならばチリッチはどうだろう。

 マレーが語った過去の敗因と重なるものがチリッチにはあるのだ。

【次ページ】 ビッグタイトルへのモチベーションが高い錦織。

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