錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
錦織圭は外よりインドアで強い!
ファイナルズ優勝が現実的な理由。
posted2016/11/07 11:50
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
AP/AFLO
今季マスターズシリーズの最後の一戦がパリで開催された。しかし、第5シードで出場した錦織圭は3回戦で第11シードのジョーウィルフライ・ツォンガに敗れて姿を消した。
テニスをわかっている人ほど、マスターズの3回戦でもうツォンガなのかと思うかもしれないが、マスターズシリーズと一括りに言ってもその規模には随分と差があるのである。
春にインディアンウェルズとマイアミで続けて行なわれるアメリカの2大会が96ドロー(96人の選手が登録)であるのに対し、このパリ大会はマスターズ大会の中では最少の48ドローだ。16人のシード選手は1回戦が免除となるので、順当なら早くも2試合目でシード対決ということになる。
実はこの大会、それが錦織にとっては好条件なのではないかと考えていた。
優勝するためにはいずれ倒さなくてはいけない強敵は同じようにいるが、そこに至るまでにスタミナを浪費せずに済む。
この数年でフィジカルが非常に強化されたとはいえ、今季の途中棄権と不戦敗が合わせて3回という数字は、他のトッププレーヤーに比べると多い。試合数が少なければケガのリスクも減りやすく、体力を残したベストの状態で強力なライバルたちとの大一番に臨める。
インドアでの勝率が抜きん出ている錦織。
錦織自身は、マスターズシリーズ第一戦のインディアンウェルズで「自分に合っているという意味では、マイアミとかマドリードでチャンスがあるんじゃないかと思う。特にそこは気合いを入れて上を狙っていきたい」と話していたが、マスターズシリーズで唯一のインドア大会ということも、ここでチャンスがあると思える根拠の1つだった。
錦織はインドアでの勝率が高いからだ。
キャリアを通しての勝率が73.8%という数字は、ロジャー・フェデラー、ノバク・ジョコビッチ、アンディ・マレーに次ぐ高確率だ。そして、ここが肝心だが、この4人の中でアウトドアの勝率よりもインドアの勝率のほうが高いのは錦織だけなのである。