錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
再びのマレー撃破で、優勝を!
ファイナルズ、錦織圭の勝機を探る。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2016/11/11 12:30
今年の全米オープンでは準々決勝でアンディ・マレーを破ってベスト4まで進出した錦織。ファイナルズで、再びあの激闘を再現か。
あえて言いたい「本命は不在」。
錦織にとっての第1戦は開幕2日目、相手はワウリンカである。
これは悪くないが、同時に落とせない。
トーナメントと違って、負けても挽回の可能性が十分あるという点でリラックスして臨めるが、別の見方をすれば、たとえ勝ってものちのちグループ内の順位を決定するときにスコアが重要になってくるケースがある。つまり、1セット、1ゲームも気が抜けない緊迫感もある。ゆえに、1セット目から目が離せない。
今回のファイナルズは、時代の変わり目となるような今季最終戦である。
かつて絶対的だった二強、フェデラーとラファエル・ナダルはケガですでにシーズンを終えている。ケガの多いナダルは過去にも欠場が多いが、フェデラーの不在は初めてだ。初出場の'02年から連続14回出場し続け、史上最多の優勝6回という実績を残したファイナルズの〈顔〉である。
今はフェデラーという核を失っているテニス界。
ジョコビッチとマレーの王者争いのクライマックスが目下の関心事だが、あえてここで言いたい。
本命は不在。
そして、錦織にとってはチャレンジャーに徹しやすい好条件。万全の状態で臨める者に最大のチャンスが訪れそうな今年のファイナルズである。