バレーボールPRESSBACK NUMBER
バレー会場問題の陰で強化が凍結中。
日本人ありきの男子監督選考に疑問。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2016/12/09 19:00
2020年は自国開催で予選が免除され、五輪への出場が決まっている。長期計画で強化を進めて欲しい。
開催国の東京五輪なので、応募は多いはず。
公募というやり方がベストだとは思わない。本来は協会が、日本が世界に勝つために目指すべきバレーのビジョンを描き、その実現のために必要な指揮官を世界中から探し出すべきだろう。
しかしそれができないなら、公募も1つのやり方だ。木村会長が「次は東京五輪で日本は開催国ですから、当然、公募すれば外国人監督からもたくさん応募が来ると予想された」と言うように、世界中の多くの選択肢から選ぶことができるという意味では、日本にとってチャンスだった。ところがそれをしなかった。木村会長はこう続けた。
「これは個人的な意見ですが、背が小さい民族である日本チームを鍛えて結果を出すことが、優秀と言われている外国人監督にできるのかといったら、クエスチョンマークがつく。例えば2m以上の選手を集めて世界一になった監督が、じゃあ190cmぐらいの選手たちの集団を、同じように高みに持っていけるかといったら、また違う話だろうと思う。
もちろん外国人だからダメというわけじゃなく、中には、あの監督だったらひょっとしたら日本人に合っているかなと思う人もいます。ただやっぱり私は、日本人の監督方で世界に勝つ知恵を使って、日本人らしい勝ち方をしてほしい」
日本が強くなることが最優先ではないのか。
Vリーグや大学、高校の監督などから構成される強化委員会にも、協会の「日本人で」という意向が及んでいたようだ。今回の選考では、南部正司前監督の続投を阻止するために、中垣内氏が立てられたという流れがあったようだ。
日本代表が強くなることを最優先にした監督選考だったかというと、おおいに疑問が残る。
忘れられない選手の言葉がある。昨年、ブラジルリーグへのレンタル移籍を決断したパナソニックの福澤達哉が、海外挑戦を決意した理由についてこう語っていた。
「北京五輪からロンドン五輪までの4年間、必死で考えて世界と勝負したけど、結果的にそれが実を結ばなかった。次にリオ五輪に向けて、と考えた時に、国内にいても、結局同じ方法しか思いつかないんです」