4バック、5バックどちらも崩され方に変化が無い。

　1－3の敗戦。これで名古屋は17戦勝ち無しという不名誉な記録を更新した。

　試合を決した2失点は、いずれも自分達の簡単なボールロストから。また失点シーン以外にも、5バック＋ミドルライン4枚という人海戦術を敷いても、肝心のチャレンジ&カバー、スライドが出来ていなかった。ボールが来ると各々がアプローチに行くだけで、そこには“組織的に奪う”という要素が欠如していた。

　その結果、相手に楽にプレーをさせ、ボールを奪っても保持する選択肢が失われる。気づけば柏のハーフコートゲームを生み出してしまっていた。

　こうなってくると、もうシステム云々の問題ではない。5-4-1でスタートしたチームは、65分にDF酒井隆介に代えて川又を投入。前線にFW永井謙佑と川又を並べ、最終ラインを4枚にする4-4-2に変更した。しかし、その直後に2失点目を喫した。

　問題なのは4バック、5バックどちらも崩され方に変化が無いことだ。簡単に縦パスを入れられ、前を向かれ、背後を突かれる。これはいかに個がバラバラで守っているかを実証している。それが立ち上がりから漂う悲壮感の正体でもあった。

守護神・楢崎も「あまりにも……ね」と嘆く現状。

　悲壮感は試合後、小倉監督の記者会見でも漂っていた。記者の質問に対して脱力感たっぷりの声で話し、内容も定型文を並べただけで、薄っぺらいものになってしまっていた。

　ミックスゾーンでも、普段は温厚でメディアを大事にする永井ですらも、無言でミックスゾーンを後にした。そして、足を止めた楢崎は現状をこう口にした。

「後半も前半のように守れるかと言ったら、正直厳しい。全く点が取れる雰囲気ではなかった。最後に1点を取れても、その前に3点取られているわけですから。常に守りのゲームになっている。しょうがないところもあるんだけど。それにしても、あまりにも……ね」

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