“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
小倉監督休養は“手遅れ”なのか。
楢崎正剛が吐露した名古屋の現状。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJ.LEAGUE PHOTO
posted2016/08/26 11:30
小倉体制最後となった柏戦のベンチ。新監督に就任したジュロブスキー氏(右端)の目にはどのように映っているのだろうか。
「ボール回しが得意ではないチーム相手に回される」
このコメントを聞いて、彼ならば突っ込んだ質問をしてもしっかりと現状を示してくれると感じた。
そこで「最初から守りのゲームになるという状況が苦しさを倍増させているのではないでしょうか?」と質問をぶつけた。
「守りにしても、積極的にやれているかどうかが一番大事なのですが、相手に上手くやらせすぎているし、そんなにボール回しが得意ではないチームが相手でも回されるし……。その辺はちょっとどうかなとは思う」と、不調の核心を口にして、こう続けた。
「あっさりやられているなという印象はある。ボールを持ったときに、取られてカウンターを受けても、すぐに対処出来るようにしていても、あまりにもあっさりやられている。何とかします」
“救世主”闘莉王の電撃復帰が発表されたが……。
この言葉を最後に、ミックスゾーンを後にした楢崎。そして、その3日後に小倉監督休養が発表された。チームは崩壊しかかっていたのではなく、もう崩壊していた。冒頭で書いたように、もはや制御不能に陥っていた。
その状況でようやく下された決断。さらに残留の切り札として、田中マルクス闘莉王の復帰も決定。ここに来て一気に動きが生じた。
だが正直、遅いと感じるのは事実。決断こそなされたが、これまでの悲壮感が完全に拭えるかと言えば、そうはいかないのではないか。この決断はあくまでも、追いつめられて急いで用意した最終手段にすぎない。それは柏戦のチームと同じで、能動的ではなく、受動的な選択から生まれたものである。
小倉監督が率いたチームと同じで、最終手段が機能しなかったら……チームは一体どうなってしまうのだろうか。