Jをめぐる冒険BACK NUMBER
柏の小さな巨人が示した川崎攻略法。
155cm・中川寛斗の“気が利く守備”。
posted2016/08/30 11:00
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
ストップ・ザ・フロンターレ――。
今シーズンのJ1リーグは、こんなキャッチフレーズで表せるかもしれない。
セカンドステージ第9節が終了した時点で喫した黒星は、わずか「2つ」。得点53はJ1最多で、失点22はJ1最少。その第9節では、浦和レッズとの直接対決を制してセカンドステージの首位に返り咲き、年間順位でも浦和に勝ち点5の差をつけ、首位をひた走っている。
川崎フロンターレの進撃をどう止めるのか――。
どのチームも、川崎との対戦前には、頭をおおいに悩ませていることだろう。
そんな川崎に、3つ目の黒星をつけたのが第10節の対戦相手、柏レイソルだった。
開始6分までにセットプレーと川崎のミスを突くゴールで2点を先取。前半のうちにセットプレーからさらに2点を積み重ねると、後半にも鮮やかな速攻から加点して、5-2という大勝を飾った。
憲剛は「自滅」と語る一方、柏は用意周到に臨んだ。
川崎の中村憲剛が「自滅です」と振り返ったように、川崎がマークミスやイージーミスを繰り返したのは間違いない。とはいえ、川崎を「自滅」に追い込んだのは、“本来は”似たスタイルであるはずの柏が腹をくくって施した“川崎対策”だった。
「この1週間、川崎に勝つためには何をすればいいか、どうすれば勝てるのかを考え続けてきて、選手たちがそれをしっかり実行してくれた」
試合後、そう胸を張ったのは柏の下平隆宏監督だ。その“対策の成果”は、3つのゴールに繋がったセットプレーにまずは見出せた。
先制点となった4分のゴールはクリスティアーノの左コーナーキックにディエゴ・オリヴェイラが頭で合わせたもの。3点目となる29分のゴールは、クリスティアーノのFKにディエゴ・オリヴェイラが頭で合わせ、バーに当たって跳ね返ったところを茨田陽生が蹴り込んだ。4点目の32分のゴールは、今度はクリスティアーノの右コーナーキックにディエゴ・オリヴェイラが再び頭で決めた。