“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
小倉監督休養は“手遅れ”なのか。
楢崎正剛が吐露した名古屋の現状。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJ.LEAGUE PHOTO
posted2016/08/26 11:30
小倉体制最後となった柏戦のベンチ。新監督に就任したジュロブスキー氏(右端)の目にはどのように映っているのだろうか。
先制点を奪われたシーンではボールに一切触れず。
相手が攻めて来るのに対し、人数を割いて各々が跳ね返すだけ。後半もその状況が劇的に変わることは無く、“その時”を迎えることになった。
それは58分のこと。名古屋は一度柏からボールを奪うものの、パスの出しどころが無くもたもたと自陣でボールを回す。そこへ柏からプレスを受け、ボランチの明神智和がGK楢崎正剛にバックパス。楢崎はセンターライン付近の右サイドにボールを蹴った。
落下地点付近には名古屋の選手が3人がいたが、反応したのはMF矢野貴章のみ。先に落下地点に入った柏のDF輪湖直樹がヘッドでクリスティアーノに繋ぐと、十分にタメを作ったクリスティアーノから中央に走り込んだディエゴ・オリヴェイラにボールが通り、左のスペースを突いたFW伊東純也へスルーパスが通る。伊東は楢崎との1対1を制し、強烈なシュートをゴール左に突き刺した。
この間、名古屋の選手はボールに一切触れることが出来なかった。そして、守備組織の連動したスライドも一切見られなかった。
2点目は名古屋の守備陣が数的不利にされて……。
このゴールで試合は決したようなものだった。その後も名古屋はゲームに変化をつけられず、70分にも守備が決壊する。名古屋の左サイドバック・安田理大のロングキックが伊東にブロックされたのがスタートだった。柏は伊東、栗澤僚一とつなぎ、中川寛斗がディエゴ・オリヴェイラに落として前を向く。
この時点で中川とディエゴ・オリベイラは完全にフリーで、名古屋DF竹内彬との2対1ができていた。竹内の背後に抜け出した中川に対し、名古屋DF大武峻もつり出されてしまった。直後にディエゴ・オリベイラから、大武がケアしていたクリスティアーノに綺麗なスルーパスが通り、追加点を奪われる。その後3点目を奪われた名古屋は81分に途中出場のFW川又堅碁が1点を返したが、時すでに遅しだった。