リオ五輪PRESSBACK NUMBER
塩谷が苦悩する“慣れない”4バック。
コロンビア戦、DF陣は余裕を持てるか。
posted2016/08/07 11:50
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
JMPA
「4点、取ってくれた攻撃陣に、ほんと申し訳ないと思っています」
4-5でナイジェリアに敗れた後、ドーピング検査のために1人でミックスゾーンに出てきた塩谷司は、呆然とした表情でそう言った。
塩谷にとっては、あまりにも厳しい結果であり、現実だった。オーバーエージ枠としてチームにプラス効果をもたらす選手として期待された。4年前のロンドン五輪で吉田麻也が果たした役割を塩谷にも求められたのだ。もちろん、塩谷自身もその責任を自ら担う覚悟でいた。
ところがチームに合流し、いざプレーしてみると、1人のDFとしてチームのやり方にフィットし、全体の守備力を向上させるのがそれほど簡単ではないことが分かってきた。
広島では3バック、五輪代表では4バックの難しさ。
「最初は、4バックの感覚がなかなか掴めなかったです。サンフレッチェでは3バックですし、もちろんチームとしての守備のやり方も全然違う。ひとつ例を上げるとすればテグさん(手倉森誠監督)は激しくラインを上下動するのを要求しているのですが、サンフレッチェではそこまで激しく上下動することがない。チームに入った以上、自分が合わせていかないといけないし、日に日に良くなっている感はあるんですが、完全にフィットしているのかといえば、そうじゃない。守備がしっかりしないと国際大会を勝ち上がっていくのは難しいと思うんで、植田(直通)を始めいろんな選手としっかりコミュニケーションを取りながらチームとしての守備を完成させていかないといけないと思っています」
チームのやり方はセンターバックでコンビを組む植田に聞いた。話をしていく中で植田も心を開いて、約束事などを教えてくれた。しかし、守備は実戦、修正、実戦を繰り返して身に付くものだ。
もちろん選手の能力が高ければ、たとえば南アフリカW杯の時のように大会本番前に選手とシステムを変えてうまく対応できることもある。ただ、塩谷にとって難しかったのは、ブラジル戦で見えた守備の課題が、ミーティングや選手間の話し合いだけで終わってしまったことだ。実際に南アW杯の時は、親善試合で新たなシステムを試して本番前に出た課題を修正していた。個々の間のことならコミュニケーションだけで十分だが、全体的な守備のやり方となると、実際にトライして意志統一させていく必要がある。