リオ五輪PRESSBACK NUMBER

塩谷が苦悩する“慣れない”4バック。
コロンビア戦、DF陣は余裕を持てるか。 

text by

佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

PROFILE

photograph byJMPA

posted2016/08/07 11:50

塩谷が苦悩する“慣れない”4バック。コロンビア戦、DF陣は余裕を持てるか。<Number Web> photograph by JMPA

「(ナイジェリアの選手は)対戦したことがないタイプの選手たちばかりでした。足が伸びてくるところは、映像と全然違うと思った」と、想定外の戦いとなったことをコメントした塩谷。

守備の「やり方」をもう少し煮詰めたいが……。

 だが、マナウス入りしてから守備の戦術的な練習は一度も行なわれなかった。時間が刻々と過ぎていく中、塩谷は消えない不安を抱えるようになっていた。

「守備面であえてひとつ不安を挙げるとすれば、ボールの取りどころ、ですね。テグさんは我慢する時間が長くなると言っていますけど、実際そう思うし、その中で勝ち上がっていくにはここぞという時にボールを奪って前にいかないといけない。そのタイミングは全員が感じるのがすごく大事だと思うんです。そうしていかに仕留められるか。そういう意識をすり合わせてやりたかったんですが、そこができていないんで……」

 「やり方」をある程度決め、意志疎通をしっかりしてプレーすることは守備に限らずサッカーには重要なことだ。個々の判断でボールにいく、いかないというのを決めてしまうと連動した守備はもちろん、周囲の動きと噛み合わなくなる。それが失点につながってしまうこともある。それゆえに塩谷はボールを奪う場所、タイミングを含めて守備の「やり方」をもう少し煮詰めたかったのだが、その機会を逸した。

「我慢しよう、もうやらせない」と余裕のない掛け声。

 ナイジェリア戦、開始6分で失点すると小さな綻びは時間を追うごとに大きくなっていった。FWサディク・ウマルの大きく屈強な体に手を焼き、ナイジェリアの攻撃陣からボールを奪うこともボールを運ばせないようにすることもできなかった。

 試合中に細かい修正をすべきだったが、押し込まれる状態で余裕がなく、「我慢しよう」とか「もうやらせないぞ」という掛け声ばかりが飛び交った。その声も虚しく、前半の終了間際に再度、引き離された。そして、塩谷が勝敗を分けたというシーンが後半6分に訪れてしまう。

【次ページ】 「僕が取られた4点目のPKが非常に痛かった」

BACK 1 2 3 NEXT
塩谷司
植田直通
興梠慎三
中島翔哉
手倉森誠
リオデジャネイロ五輪
オリンピック・パラリンピック

サッカー日本代表の前後の記事

ページトップ