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Jリーグに大物選手を呼ぶ方法はある!
彼らが年俸減を受け入れる条件とは。
posted2016/05/23 10:30
text by
並木裕太Yuta Namiki
photograph by
AFLO
82億ユーロ→99億ユーロ
(2010年から2014年の間に高騰したUEFA登録クラブの年俸合計額)
Jリーグから4つのクラブが参加した今季のACLでは、浦和レッズとFC東京がグループステージを通過、先週から始まったノックアウトステージ(決勝トーナメント)に進出しました。
アジアの厳しい戦いを勝ち抜いてもらいたいと心から願っていますが、近年の結果が物語っているように、その道のりは決して平坦ではありません。Jリーグ勢は2008年のガンバ大阪を最後に優勝から遠ざかり、それ以降の大会での最高成績はベスト4。今大会のグループステージを勝ち残った2つのクラブもともに2位通過で、ここから先の戦いで真の実力を試されることになります。
まずはアジアの壁を突破するべく、Jリーグ全体のレベルをどう向上させていくか――。
かねてから議論されている命題であり、Jリーグや各クラブは指導者も含めた育成制度の充実など、様々な取り組みを通してレベルアップに努めてきました。
しかし、2009年以降3度のACL優勝を果たしている韓国Kリーグ勢や、いわゆる“爆買い”によって急速に力をつけてきた中国スーパーリーグ勢との競争は激しさを増しており、Jリーグが一歩抜きんでた存在になっているとは言い難いのが現実です。
大物を獲得したいが、相場は上昇している。
私の個人的意見としては、国内で有望な選手を育て上げていく努力を継続するのはもちろんのこと、やはり海外から名の通った実力者を獲得することが、リーグのレベルアップ、そして興行的な面においても効果的なのではないかと考えています。
もちろん、そのためには獲得資金が必要になります。リーグやほとんどのクラブが決して金満経営ではない現状を考えれば、いかにコストを抑えつつ実力・実績のある選手を獲得するかという「効率」をしっかりと計算しなければなりません。
近年、世界的にサッカー選手の年俸相場は上昇しています。調べたところ、2014年のUEFA登録クラブの選手年俸合計額はおよそ99億ユーロで、これは2010年(82億ユーロ)から約20%も増加していました。特に各リーグで上位を争うクラブは選手への投資を高い水準で維持しており、Jリーグがマネーゲームで勝つことは極めて難しい状況です。