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“重し”高橋秀人と“戦う”水沼宏太。
2人が甦らせたFC東京、上海を圧倒。
posted2016/05/20 10:30
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
日本サッカー協会内にある監督室で仕事を終えたあと、日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、都内から最もアクセスの良い試合会場である味の素スタジアム(ACLの試合では呼称は東京スタジアム)によくやってくる。
必然的にホームチームのFC東京の試合をよく視察することになるのだが、試合後、毎回報道陣にゲーム感想を聞かれると、渋い顔をすることも多い。
それも仕方がない。現在J1リーグ・ファーストステージでFC東京は11試合を終え、4勝2分5敗と負け越し、順位も12位に低迷している。試合内容もJリーグ特有のスローテンポな展開になる事が多く、スピーディなサッカーを求める日本代表指揮官を納得させるゲームが眼前で繰り広げられることは少なかった。
しかし、17日に行われた試合後の感想は、これまでとは違った。
「今日はACLという国際試合。FC東京は良い試合をしたと思います。デュエル(球際での激しさ、争い)する場面もたくさんありましたし、戦う意識がありました」
自身が日本代表の戦いでも掲げるキーワード、“デュエル”という言葉を使って、試合を讃えたのだった。
上海上港は中国らしい大型補強のクラブ。
ACLラウンド16第1戦。FC東京はホームで上海上港(中国)に2-1で競り勝った。グループEを2位で戦い終えラウンド16に歩みを進めたFC東京。対する上海上港はグループGを首位で突破してきた。グループリーグではG大阪とのアウェイゲームで、すでに日本での試合を経験済み。その試合ではG大阪の約3倍もの数のシュートを放つなど、終始圧倒して2-0と快勝している。
ブラジル人アタッカーのエウケソン、アルゼンチン人MFのコンカと、かつて広州恒大(中国)でアジア制覇を経験した両助っ人が在籍し、さらに今回は負傷で欠場となったが、過去にW杯でも活躍したガーナ代表FWギャンも所属する。
ここ数年の中国クラブらしく、大金を使って大型補強を敢行している。さらに中国人に目を向けても、10代で代表デビューを果たし、3年連続国内リーグで中国人得点王に輝くウー・レイなど、要注意な選手が存在する。