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Jリーグに大物選手を呼ぶ方法はある!
彼らが年俸減を受け入れる条件とは。
text by
並木裕太Yuta Namiki
photograph byAFLO
posted2016/05/23 10:30
アジア最大のクラブになった広州恒大にとっても、スコラーリの招聘はステータス向上の大きな転機となった。
Jリーグは大物監督をまず招聘するべき?
これらのことから言えるのは、世界のトップで実績を残した選手たちを年俸ダウン提示でも獲得できる可能性を考えるうえでは、「挑戦」「母国」「監督」といったキーワードが重要だということです。
そのうちJリーグとして優先的に検討すべきは、「監督」なのかもしれません。中国の広州恒大に渡った元ブラジル代表監督スコラーリを慕って、パウリーニョやロビーニョといった大物選手が移籍を決めました。発足から20年以上が経過し、「Jリーグ=挑戦の舞台」というイメージが薄れつつある今、ビッグな監督の招聘はビッグな選手の獲得に一定の効果を発揮することが期待できます。
また「母国」というキーワードを日本に適用することも検討すべきでしょう。個人の意志を尊重するのは当然のことですが、欧州などで活躍し十分な実績を残した「海外組」に対して、日本でキャリアの最後を送ってもらうことを促すような施策が何か考えられないでしょうか。
どんな策を使っても、最後は億単位のお金が必要。
もちろん、いかに「効率」を追求したところで、海外から有力選手を獲得するには億単位の原資が必要となることに変わりありません。
これまでは、選手獲得の意思決定から年俸交渉、そして支払いにいたるまで、全てのプロセスをそれぞれのクラブに委ねていました。しかし今後は、ビッグネームを獲得してリーグ全体のレベルを引き上げるという意思をJリーグが明確にしたうえで、選手獲得の意欲があるクラブが世界中のビッグクラブと渡り合えるよう、後方支援するような仕組みも必要だと思います。
今年、Jリーグは放映権料の新たな枠組みについて交渉が行われることになっています。その結果、仮に増収が実現するのであれば、「海外からの大物選手獲得」に投資することも、一つの有効な使い道ではないでしょうか。