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トゥーロンより水原JS杯に注目!?
U-19日本代表に世界と戦う経験を。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2016/05/18 07:00
U-19日本代表は水原JS杯のあと、6月にはPanda Cupで中国遠征、U-19国際トーナメントでアメリカ遠征と、海外での試合が続く。
プロ入り1年目選手の「試合勘」問題。
19歳という年齢は、多くの場合プロ1年目にあたる。それまでは当たり前のようにクラブのユースチームや高校のサッカー部の試合で出場していた選手も、環境が一変してプロのチーム内では下の序列になってしまう。そうなると、試合に一切絡むことができなかったり、絡めても数分の出場に留まったりし、いざ90分のゲームを最初からやろうとすると、本来のプレーができなくなってしまう傾向が強い。いわゆる「試合勘の欠如」だ。
今では浦和でレギュラーを張る関根貴大も前回はこの傾向に飲まれてしまったし、前々回では今や川崎の10番を背負うまでに成長した大島僚太もそうだった。今回、内山監督はこの問題を危惧し、ゲームコンディションがいい選手を中心に代表メンバーをピックアップしてきた。
今年に入り横浜FMでスタメンに定着しつつあるMF遠藤渓太、湘南でトップチームの試合に絡み始めたMF神谷優太、明治大学で試合に出場しているMF佐藤亮など、昨年10月にラオスで行われたAFC U-19選手権予選(アジア1次予選)に出場していなかった選手たちも選ばれている。さらに一時期は代表から遠ざかっていたMF三好康児も、川崎で出番を掴み始めたことで招集されるようになり、J3でコンスタントに試合に出ているG大阪の選手も意図的に多く選ばれている。
積極的な海外遠征で経験を積む重要さ。
だが、それでも海外の同年代選手とは差が出てしまう。こうしたゲームコンディションの差を埋めていくためには、代表として集まる機会を多くし、積極的な海外遠征で強豪国との対戦を重ねて、経験値を積み上げていくことしかない。
アジア1次予選を3連勝して最終予選進出を決めたあと、内山監督はこう話している。
「1次予選と言えど、選手は緊張するし、試合では考えられないようなキックミスなどが起きて、あたふたしてしまう。それは場数の問題。この年代の選手たちは、場数が少ないのが大きな問題で、もっといろんな経験を積むために、海外に出て行かないといけない。それも1、2回経験しただけで終わってしまう選手もいる。それじゃダメ。3回、4回、5回とその選手が積み重ねていくことで、それが財産となり、成長にも繋がる」