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F1開幕戦で堪能できた高度な情報戦。
フェラーリとメルセデス、至高の戦略。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2016/03/27 11:00

F1開幕戦で堪能できた高度な情報戦。フェラーリとメルセデス、至高の戦略。<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

現在のF1では、ドライバーがレース戦略を考えるのではない。チームのストラテジスト(戦略担当スタッフ)が膨大なデータをもとに考えているのだ。

ライコネンのリタイアでフェラーリの戦略が崩壊。

 フェラーリのチーフストラテジストはイニャキ・ルエダというスペイン人で、2014年までロータスに在籍。2012年のアブダビGPや2013年のオーストラリアGPでは、見事なピットストップ戦略でチームを優勝に導いた優秀な戦略家で、昨年フェラーリに移籍してきた。

 おそらくルエダは、メルセデスAMGと同じミディアムタイヤでレースを再開しても、再スタート直後にベッテルはロズベルグにオーバーテイクされるだろうと予測。それならば、スーパーソフトで逃げて、もう一度ピットインしてソフトに履き替え、レース終盤にミディアムのまま走行しているロズベルグを逆転することに賭けたのではないだろうか。

 しかし、そのシナリオは、レース再開直後にライコネンがマシントラブルでリタイアしたために崩れてしまう。

 ハミルトンの抑え役となるはずだったライコネンが消えたことで、ピットストップした後にベッテルはハミルトンの後塵を拝することになり、トップを走るロズベルグに迫ることができなかったからだ。

 結果だけを見れば、再スタート時にフェラーリがメルセデスAMGとは異なるタイヤを選択したために優勝を逃したように見えるが、じつはフェラーリも優勝は狙っていた。

 F1はドライバー同士の戦いであると同時に、チーム同士が最新のデータを分析しながら戦略を決める情報戦でもある。その醍醐味を開幕戦から見ることができた2016年シーズン。

 熱戦の予感がする。

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