Jをめぐる冒険BACK NUMBER
風間体制5年目でついに化けた!?
川崎フロンターレ、快進撃の秘密。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byKiichi Matsumoto
posted2016/03/16 10:50
8位、3位、6位、6位(前期5位/後期7位)という過去4年間の総括なるか?
対戦相手が驚いた、川崎の急激な成長ぶり。
名古屋戦で言えば25分、敵陣でボールを失ったものの、大島僚太、狩野健太、エウシーニョの3人が田口泰士を囲い込み、苦し紛れのパスを車屋紳太郎がカットした場面が好例だったが、より鮮やかに表れたのは第2節の湘南戦だ。
攻守のトランジションといえば、湘南の専売特許。ところが、そのお株を奪うかのように川崎も敵陣でボールを失うとすぐ、小林悠や森谷賢太郎、大島らが迫力をもってボールを回収しにいった。
これには湘南のキャプテン高山薫も「うちの中盤やディフェンスラインに対して素早くプレッシャーをかけてきて、すごくいい守備をしていた。今までのフロンターレとちょっと違うな、という印象だった」と驚くほどだった。
「これまではバルサの映像でも、崩しのシーンを見せられることが多かったんですけど、今年は切り替えのシーンや奪うシーンを見せられることが多いんです」
ミーティングの変化についてそう明かしたのは、中村である。
また、名古屋戦のあとには大島が「守備のことを言うとき、監督の口調が今年は強くなっているように感じます」と言えば、車屋は「必要以上に後ろで余らないように、と言われています。それでサイドバックの自分も高い位置を取って詰めるようにしたら、ボールを奪い返せるようになった。切り替えについてはトレーニングでかなりやっているので、いい形で出せていると思います」と手応えを覗かせた。
バルセロナを目指すも……川崎は違うチームなのだ。
あれは風間監督が就任して1年が経った頃だったから、'13年のことだ。
川崎は当時、自陣で守備の陣形をセットし、相手ボールホルダーとゴールを結んだライン上にポジションを取ることで前方へのパスコースを消し、相手を追い詰めていくような守り方をしていた。
そこで風間監督に訊ねたことがある。バルセロナを念頭に置き、「なぜ、ハイプレスをかけて、もっと前からボールを奪い返しにいかないんですか」と。
「攻撃の質によって守り方は当然、変わる。相手を完全に押し込むだけの力があれば、逆に自分たちの後ろには人がいないんだから、前で取り返しにいくしかないし、それをやるには攻撃はもっと緻密にならなければいけない。攻撃と守備というのは、切り離して考えるものじゃないから」