詳説日本野球研究BACK NUMBER
'16年のセンバツ注目校総ざらい!
ポイントは“左腕の好投手”。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKyodo News
posted2016/02/02 07:00
第1回選抜優勝校でもある高松商業は、明治神宮大会で昨年の選抜優勝校・敦賀気比を下し初優勝。四国に追加の出場枠をもたらした。
投打ともに注目の東邦・藤嶋。
東邦の藤嶋健人もセンバツを代表する顔だ。明治神宮大会では初戦しか投げず、2回戦の青森山田戦は4番・右翼手として出場し続けた。一昨年夏の甲子園、昨年秋の明治神宮大会を見た限りではストレート一辺倒ではなく、カーブやチェンジアップを交えた緩急や高低の攻めに特徴があった。言い換えればセンバツを勝ち抜けるタイプで、東邦という学校もセンバツに強く4回優勝しているのは追い風になる。
打者で目立つのはこの藤嶋がナンバーワンだろう。明治神宮大会初戦の秀岳館戦は、6回に1ボールからのストレートを狙い打ってレフト中段に達する特大ホームラン、8回には初球のスライダーを狙い打ってやはりレフトスタンドに放り込んでいる。マウンドにいるときは公表されている176cm、75kgという数字が違和感なく受け入れられるが、打席に立つと大きく見える。この藤嶋を中心とした打線は大会屈指の攻撃力を誇り、新チーム結成後の公式戦のチーム打率.381は大阪桐蔭と並んで大会ナンバーワンである。
注目の選手が大舞台できちんと結果を出す大阪桐蔭。
タレント揃いということでは大阪桐蔭が頭1つ抜けている。明治神宮大会の木更津総合戦では6番の栗林佑磨(捕手)が早川から逆転の3ランを打ち、1、2点リードした局面で打席に立ってタイムリーを放ったのが2番の永廣知紀(二塁手)。
敗れた準決勝の高松商戦では3番吉澤一翔(三塁手)が追撃の2点二塁打を放ち、8回には1番中山遥斗(遊撃手)が1点差に迫るタイムリーをセンター前に弾き返している。注目の選手が大舞台できちんと結果を出すというのが大阪桐蔭の凄さである。
打線も優れている常総学院、花咲徳栄、木更津総合。
左腕投手がいい、と前に書いた常総学院、花咲徳栄、木更津総合は打線もいい。常総学院の2年・宮里豊汰(一塁手)は関東大会1回戦、横浜戦でドラフト候補・藤平尚真が投じた初球ストレートをフルスイングで捉え、左中間スタンドに放り込んだ。第1打席でもレフトに大きい二塁打を打っているが、これをホームランと勘違いしたのかチンタラ走って三塁到達は9.52秒。愛嬌があってちょっと笑えた。
木更津総合では中学時代から目立っていた1番峯村貴希(遊撃手)が明治神宮大会の大阪桐蔭戦で1回表、先頭打者ホームランを放って驚かせた。第2打席では外角低目の変化球に対してバットを内側から出して捉えセンター前に運び、このときの一塁到達タイムが私のストップウォッチで4.30秒。さらに二盗を成功させて足の速さを遺憾なく発揮した。
花咲徳栄では関東大会初戦の樹徳戦で、第2~4打席で3安打放った岡崎大輔(遊撃手)がいい。左打席から左中間、ライト、三塁内野安打と広角に打ち分け、小技も見せた。