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想定外尽くしの1年だったヤクルト。
トリプルスリー、セ界制覇は続くのか。
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byHideki Sugiyama
posted2015/12/25 10:50
トリプルスリーを達成し球史に名を残した山田。リーグ優勝にも大きく貢献しての偉業だった。
先発陣の苦境を救った救援陣の大活躍。
しかし5人の新人投手の登板は合計してもわずか2試合、イニング数にして3回1/3のみにとどまり目論見は外れた。FAで獲得した成瀬善久は3勝どまりで二軍降格、復活が期待された由規も結局は登板が果たせぬままに終わっている(2016年から育成契約に)。
思えば日本シリーズでホークスに苦杯を嘗めさせられたのも、やはり先発が早々に打ち込まれたからにほかならない。
苦しい台所事情を支えたのが救援陣だった。
12球団最多の74試合に登板した秋吉亮、セットアッパーとして72試合登板の新助っ人オンドルセク、そしてかつての短気がウソのような安定感を見せた守護神のバーネット。彼らの大車輪の活躍は、期待をかけた先発陣の不振を上回る、うれしい“想定外”だったのではないだろうか。
それではリーグ王者として迎える2016年、燕の視界は明るいのか。むろん、“想定外”の活躍頼みでいいはずはない。
ロマン&バーネットの抜けた穴をどう埋めるか?
まず懸念されるのは、先発と中継ぎを兼任したロマン、そしてバーネット退団による影響の大きさだ。
球団はその穴を埋めるべく新戦力獲得に向けて動いており、先発候補としてヤンキースからメジャー通算43勝65敗の右腕カイル・デイビーズ(32歳)を獲得。さらに、プレミア12でのドミニカ代表左腕ルイス・ペレス(30歳)、元レイズの右腕ジョシュ・ルーキ(31歳)の入団が決まっている。
ただ、外国人投手が日本のマウンドでどんな投球を見せるかは、それこそ「投げてみないと分からない」側面も強くある。
むしろ、「計算できる」存在とならなければならないのは既存の先発陣の面々だろう。絶対的な守護神が抜けた後だけに、先発陣には自らの役割を果たす責務がより強く求められる。
2015シーズンに2桁勝利を挙げた石川、小川泰弘、さらに長いリハビリ生活からの復帰を果たしたベテランの館山昌平が勝ち星を積み重ねることは連覇のためには欠かせない。あとは、成瀬、新垣渚という過去に2桁勝った実績のある移籍組と、石山泰稚や杉浦稔大、あるいは即戦力の呼び声高いドラフト1位の新人・原樹理といった若手の中から、ローテーションに定着できる投手がどれだけ出てくるかがカギになる。
中でも個人的に注目したいのは、村中恭兵の復活だ。