猛牛のささやきBACK NUMBER
「言いたくない」「揉めたくない」
プロ野球選手の年俸、悲喜こもごも。
posted2015/12/24 10:30
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Kyodo News
12月は契約更改の季節だ。
金子千尋や平野佳寿といった主力選手のFA権取得が重なった昨年に比べると、今オフのオリックスは穏やかだった。
チーム成績が昨年の2位から5位に沈んだこともあり、選手たちは毎日粛々と判を押した。12月17日までにすべての選手が更改を終え、保留者は出なかった。
昨年も保留したのはT-岡田1人で、以前に比べると、保留する選手は減っている印象がある。約10年間、契約更改の席についている横田昭作球団副本部長は、「そういうイメージはないが、その時々で(保留選手が)かたまる傾向はあるかもしれない」と話す。
確かに、1人保留者が出ると、後の選手も保留しやすい面はあるだろう。
選手年俸を“推定”する方法。
ところでこの時期は毎日何人ものプロ野球選手の推定年俸が公表されていくが、その数字はどのように弾き出されているのだろうか。
球団との契約更改交渉を終えた選手は、その足で記者会見に臨み、「今日、サインはしましたか?」「ハイ」というやり取りから会見がスタートする。次に、アップか、ダウンか、現状維持か。そこまではたいていどの選手もスムーズに進むが、質問が具体的なアップ額、ダウン額に及ぶと、口が重くなる選手もいる。
「どれくらいの幅のアップですか?」
「少しです」
「100万くらい?」
「うーん……」
「300万?」
「まあ、それぐらいです」
といったやり取りを重ね、推定年俸が弾き出されるが、実際には少なめに言う選手もいる。