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30億円補強が裏目に出たオリックス。
それでも来季が期待できる根拠とは!?
posted2015/12/26 10:40
text by
芦部聡Satoshi Ashibe
photograph by
Kyodo News
Number Web版“プロ野球・ゆく年くる年”企画は、全12球団の短期集中コラムシリーズです。年末年始にかけて、全12球団の2015年の振り返りと2016年の夢を、チームへの思い入れたっぷりの筆致でお伝えいたします!
第2回目は相次ぐ有力選手の故障、監督休養など想定外が続いた、オリックス・バファローズです。
2014年のオリックス・バファローズはほんとうに惜しかった。
ソフトバンクとの優勝争いは10月2日の最終決戦までもつれこんだが、あと一歩のところで力尽き、1位とのゲーム差0の2位に終わった。つづくCSでは3位の日本ハムに敗れてリベンジはできなかったが、'15年の戦いを期待させるには十分だった。なんせイチローが在籍していたブルーウェーブ時代の1996年以来、20年近くも遠ざかっている栄冠に、指先が触れたのだ。
では、優勝するには何が必要なのだろう?
ほんの少しだけ力が足りなかったのだから、戦力を補強すればいいんじゃない?
戦力がありすぎて困ることはないだろうし、どうせなら一流どころをたくさん引っ張ってくればいい――。
こう考えたオリックスは、球団史上最大規模の大型補強を敢行。悲願の優勝に向けて、勝負に打って出たのである。
開幕早々、負傷者続出で戦力は大幅に低下。
アメリカに渡ってアスレチックス傘下のマイナーでプレーしていた中島裕之を、阪神との争奪戦の末に獲得。さらに日本ハムをFAした小谷野栄一、DeNAを退団したトニ・ブランコ、広島で投げていたブライアン・バリントンらを手中に収め、彼らに支払う年俸は総額30億円とも言われている。宮内義彦オーナーはこの補強に「100点満点」とご満悦だったが、中島はアスレチックスのビリー・ビーンGM(現編成本部長)に「大失敗」の烙印を押され、2年のアメリカ暮らしのあいだメジャー昇格は一度も果たせなかったのが現実だ。小谷野は34歳とコンディションが懸念される年齢である。不安があったのはたしかだ。
結果として、この不安は的中する。
ブランコが左膝痛で4月1日に登録抹消となったのを皮切りに、4月21日には中島が右太ももの肉離れ、5月7日には小谷野が左太もも裏痛、5月21日にバリントンが右肩の違和感を訴えて登録抹消の憂き目に……。
戦線離脱は補強組だけではない。中継ぎエースの佐藤達也と守護神・平野佳寿、エステバン・ヘルマン、平野恵一も負傷で登録抹消。開幕から5月までの2カ月で、これだけの戦力を欠くことになったのである。戦いは始まったばかりだというのに、もはや立ち上がる気力は残っていなかった。