サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「本田はDFの背後に走り始めている」
ハリルが中学生合宿で語った日本論。
posted2015/12/03 11:10
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph by
Sports Graphic Number
日本全国から集められた、30人の中学生プレーヤー。彼らの視線の先に立っていたのは、白髪の日本代表指揮官だった。
11月28日、29日の両日、東京・巣鴨のサッカーグラウンドで、あるイベントが行われた。1978年から日本サッカー協会(JFA)を支えるKIRINが新たに主催した、その名も『KIRINキャンプ』。これは、全国の中学生約1400人の募集の中から選抜された30人を、代表監督であるヴァイッド・ハリルホジッチが指導するというイベント。一国の指揮官が育成年代の選手たちを直接教えるという、世界的にも例を見ない新たな取り組みである。
ハリルホジッチ監督を始め、ジャッキー・ボヌべーコーチやシリル・モワンヌフィジカルコーチら、現役代表スタッフが勢揃いして中学生の指導にあたった。初日には2回のトレーニングと2回のミーティング、2日目も2回のトレーニングを行うなど、日本の未来を担う若き選手たちは、みっちり2日間緊張感と刺激に満ちながら汗を流した。
フル代表と同じ手法で進められた2日間の合宿。
興味深かったのは、練習方法や行動スケジュールなど、ほぼすべてがハリルジャパンと同じルーティーンで進められていたところである。
例えば練習メニュー。コーチングスタッフを含めた全員でのジョギングから始まり、ウォーミングアップでは全身を使ったコーディネーショントレーニングを繰り返し、ボールを使った練習でも、素早い判断とプレー選択を促していくメニューがちりばめられていた。これらはハリルジャパンが国内合宿、アウェイ遠征と、どんな環境でも必ず行っている練習メニューの数々である。
さらに食事の会場でも、ルーティーンは保たれた。
ザックジャパンやアギーレジャパン時代の代表は、会場に円テーブルが置かれ、選手たちは好きな場所に座り、好きなタイミングで食事を始められるスタイルが取られていた。それがハリルジャパンでは一変し、顔や座り位置が確認し易い縦に長いテーブルに選手たちは座るようになり、また選手・スタッフ全員が着席してからビュッフェ形式の食事が始まるようになった。