サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「本田はDFの背後に走り始めている」
ハリルが中学生合宿で語った日本論。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph bySports Graphic Number
posted2015/12/03 11:10
中学生にとって貴重な機会だったのは間違いないが、ハリルホジッチ監督にとっても思うところあっての登場だったのだろう。
食事のテーブルや順序にも代表流が。
「チームは一つにまとまり、一つの方向に向かうもの」
指揮官の規律の哲学は、今回の中学生の合宿でも同様だった。まず選手たちが全員席につき、さらにスタッフ陣も後を追って着席。そこで、樋渡群通訳が説明する。
「A代表も今日のように縦に2列テーブルがあって、そこに全員座ります。そして長谷部誠キャプテンの『では食事を始めましょう』という号令のもと、みんなが料理を取りに行きます。選手が取った後に、我々スタッフも取りに行きます。みんな一緒に食べて、一緒に食べ終わる。これは我々が一つのグループだということを、強く意識するためです」
胸に八咫烏のマークの入った青いジャージを身につけ、代表選手さながらの行動をしていく中学生たち。初めは緊張で少々強張っていた表情も、いつしか誇らしげな笑顔に変わっていった。
13歳~15歳は、テクニックを伸ばす時期。
ハリルホジッチ監督に2日間密着していく中で、改めて彼の日本代表、そして現代サッカーへの考え方が顕著に理解できた。
今回集まった13歳~15歳までの年代について、まず監督は「フランスではこの時期を『前期育成段階』という。15歳~18歳を『育成段階』、18歳~20、21歳までを『後期育成段階』と呼ぶ。段階が上がるに従って、徐々にプロ選手になれるか否かがはっきりしてくる」と表現した。
前期育成段階で必要なトレーニングを、「85%はボールを使ったメニュー、15%がフィジカルメニュー」とわかりやすく分解。テクニックを伸ばすのに最適な時期で、両足、インサイド、アウトサイド、頭など全身を使って丁寧にボールコントロールを磨くことが最優先と語る。
「ハイレベルな選手になるには、10000回、ボールコントロールを繰り返す必要があると言われている。これをこの年代でやっておけば、20歳になってもそのテクニック感覚が失われない」と中学生に宿題も課した。