サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「本田はDFの背後に走り始めている」
ハリルが中学生合宿で語った日本論。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph bySports Graphic Number
posted2015/12/03 11:10
中学生にとって貴重な機会だったのは間違いないが、ハリルホジッチ監督にとっても思うところあっての登場だったのだろう。
合宿でも何度も言及された「デュエル」。
一方で、大人が戦うトップレベルのサッカーでは、今何が最も必要とされているのか。ハリルホジッチ監督は、今回の合宿中に何度もそのことについて触れた。
それが、今やハリルジャパンの代名詞と言える、デュエル(球際での戦い、激しさ)である。テクニックを重視する育成年代とは違い、トップオブトップの戦いでは、フィジカル面が重視されることを強調した。
「ヨーロッパと日本の差を見てください。テクニックには差がないと思う。問題は、フィジカルとパワー。私がデュエルという言葉を使って、その真意についての質問が飛んだ時、私はその事自体にびっくりした。現代サッカーは、デュエルです。デュエルに勝たなければ、試合には勝てない。日本の選手はもっともっと、デュエルに強くならないといけない。そのためには、フィジカルコンディションが相当重要になってくる。100%のフィジカルの状態でないと、もはや現代サッカーは戦えない」
口を酸っぱくして、あらゆるところでその重要性を唱えているハリルホジッチ監督。10月に行われた親善試合・イラン戦でも、指揮官はアジア相手でも日本の選手たちが競り合いで後手になる現実を突き付けられた。以前から日本の戦いを見守ってきた我々からすれば、アジアの屈強な体格の相手に苦しむシーンは見慣れた場面かもしれない。しかし、日本に来て数カ月のハリルホジッチ監督にとっては、その事実自体が歯がゆく、どうにかして改善しなければならないという思いに強く駆られている。
なぜならば、彼の中では『現代サッカー=デュエル』、『デュエルなしに、勝利なし』というのは当然の事実だからである。
「私は本田の現状はもちろん安心していない」
キャンプの全行程を終え、最後に記者の前に立った。フル稼働だったこの2日間。さすがに少し疲労の表情が見られた。
話は、ある選手の話題になった。
「普段週末は海外組の選手の試合をテレビでチェックするが、さすがに今回のキャンプで忙しくてまだ昨日の(28日)の試合は見ていない。これから録画した試合も含めて、すべて見ていく。来年1月、2月にはヨーロッパに行って一人ひとりに会って話したい。
私は本田(圭佑)の現状はもちろん安心していない。昨日(サンプドリア戦)も10分ぐらいしか出場していない。彼のことは注意しているし、電話もしている。直接話した時に、彼は『ミランでポジションを奪いたい』と言っていた。競争がかなり激しいチーム。覚悟しないといけない。プレーをしないと、コンディションはどんどん下がっていく。個人で補足トレーニングをかなり綿密にしないといけない」