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「本田はDFの背後に走り始めている」
ハリルが中学生合宿で語った日本論。 

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西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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posted2015/12/03 11:10

「本田はDFの背後に走り始めている」ハリルが中学生合宿で語った日本論。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

中学生にとって貴重な機会だったのは間違いないが、ハリルホジッチ監督にとっても思うところあっての登場だったのだろう。

「本田は今、DFの背後に走り始めている」

 そして、ハリルホジッチ監督は、そんな本田の“再生プラン”の一端を明かした。

「例えば、代表ではFWの中央(1トップ)でプレーさせることも考えている。先日のカンボジア戦、彼は途中出場から約20分で5回のチャンスを作った。本田は今、DFの背後に走り始めている。以前は足元で受けるプレーが多かった。彼には左足のシュート、ヘディングもある。(ゴール前)16mの中に入ってシュートを見せてくれる。サッカーをよく知っていて、フィジカルもある。私は今、もっと点を取れる選手を探している。チームには、絶対に必要だからです」

 本田がスペースランニングを強く意識するようになったのは、昨季ミランで3トップの右サイドを任されるようになったことが大きい。以前にも「今は中盤に下りてパスをさばくプレーをグッと我慢して、とにかく前でボールを呼び込むことを心がけている」と発言している。実際にカンボジア戦でも、途中出場でピッチに入ると、直後のファーストプレーでDF裏に走り出して柏木陽介からパスを引き出し、藤春廣輝のクロスに合わせて頭でゴールを奪うなど、その動きはFW然としたモノが多い。

 日本で今、最もストライカーらしい選手と言える岡崎慎司ですら、ハリルホジッチ監督は絶対的なエースとはみなしていない。それは先月のシンガポール戦で5年ぶりに代表復帰を果たした金崎夢生をいきなりトップの位置で起用したことからもうかがえる。

ピッチの前と後ろでは大きい選手の必要性が高い。

 以前から、センターFWへの物足りなさを事あるごとに話してきた。今回の合宿中にも、こんな言葉が発せられた。

「日本には背の高い選手が少ない。ヨーロッパには、大きいセンターFWが多い。現代フットボールでは、前線でヘディングや競り合いに勝つことが大事な要素。前と後ろには大きい選手を置く傾向がある。大きい選手は真ん中で、小さい選手はサイド。そういう選択がある」

 戦える(デュエルできる)選手が少ない。特にゴール前の「真実(リアル)ゾーン」と指揮官が呼ぶエリアでは、日本のFWに物足りなさを感じていることは間違いない。

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