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ガンバが韓国王者撃破でACL4強!
ラスト15分の混戦を招いた強さと脆さ。
text by

吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/09/17 12:00

「平日なのにすごいサポーターの皆さんも応援してくれていたし、半端じゃない盛り上がりだった。最高の試合展開」とコメントした決勝弾の米倉。
守備的な敵をガンバはどう撃破したか?
ゴールシーンではチェが守備ラインに吸収された状態で、中盤後方からの遠藤保仁のパスを受けた。この段階で、もうひとりのボランチ、イ・ジェソンの横をボールが通過していた。
倉田は相手のマークを外していたうえに、DFラインの手前にはたっぷりとしたスペースと、シュートを振りぬく時間さえあったのだ。
試合後、片野坂知宏コーチも「ピッチ上の選手がうまく話し合いながら、相手ボランチのスペースを使ってくれていた」と口にした。
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相手の「守備的に戦う」という狙いを打ち破った瞬間だった。
全北は、ピッチ上にDFがほぼいない布陣に!
しかしその後は、結果がどう転ぶか読めない展開になった。
「2-1で終わらせるべき試合だった」と、長谷川健太監督が振り返った通り、残り時間15分のゲームをうまくクローズできなかったのだ。これはガンバにも全北にも言えることだった(それはそれで見ていて楽しい展開でもあったのだが)。
2-1となった時点で、全北はなりふり構わず攻撃に出てきた。
79分にはCBのキム・ヒョンイルに替えFWウルコ・ベラを投入。85分にはCBアレックス・ウィルキンソンに替えてFWキム・ドンチャンを送り出した。
ピッチ上にDFがほとんどいない状態になった。チェ監督曰く「パトリックにだけマークをつけ、後は攻撃を考えた。リーグ戦でも2度ほど使ったことのあるやり方」だった。
これが功を奏し、88分に右サイドからのセンタリングをウルコ・ベラが決めた。このゴールで、再び全北が次のステージに進む権利を得た。
しかし――劇的な結末は、アディッショナルタイムの93分に訪れた。
遠藤からのパスをフリーだった金正也が受けると、「DFとは思えない華麗なボールコントロール」(遠藤)を見せ、米倉にパス。これを「後半の途中から前目のポジションを取るよう指示を受けていた」という米倉が決め決勝ゴール。途中出場の2人が決定的な仕事をやってのけたのだった。
遠藤は試合をこう振り返った。
「満足はしていない。試合のラストプレーで決着がつくようなことは本来はしたくはないが、結果が出たことはよかったと思っている」
たしかに、この先の戦いを考えても残り15分間の試合運びは課題として残った。15分は「クローズする」という発想を持つには多少長い時間だとしても、88分の失点は余計だった。