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岡田武史が自ら獲得に動いた男。
山田卓也が語る、FC今治の野望。

posted2015/09/15 10:30

 
岡田武史が自ら獲得に動いた男。山田卓也が語る、FC今治の野望。<Number Web> photograph by Taiji Kosuda

今治FCには、市川大祐と山田卓也(写真)という元日本代表が2人いる。彼らがこのクラブに植えつけるものは、果たしてどんな実をつけるのだろうか。

text by

小須田泰二

小須田泰二Taiji Kosuda

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Taiji Kosuda

 元日本代表監督の岡田武史がクラブオーナーを務めるFC今治。そのキーマンとしてこの夏に電撃入団してきたのが、元日本代表DFの山田卓也である。

 8月24日で41歳になったばかりのベテランが、アメリカでの輝かしいキャリアを捨ててFC今治への入団を決めたのはなぜか。そして岡田武史はなぜアメリカにいた山田卓也をわざわざ獲得してきたのだろうか。

 このふたりの出会いを紐解くと、なかなか運命的なものを感じさせる。まず前提となるのは、山田と岡田との接点がほとんどないということだ。

 山田は大学卒業後、東京ヴェルディ(当時はヴェルディ川崎)に入団し、セレッソ大阪、横浜FC、サガン鳥栖でプレーした。その後、2010年にトライアウトを経て、アメリカ・フロリダ州のタンパベイに本拠を置くタンパベイ・ローディーズへ入団。初の海外挑戦となる北米サッカーリーグで5シーズンプレーした。日本代表でプレーしていた時期はあったものの、それはジーコジャパンの時代のもの。クラブでも代表でも岡田監督下ではプレー経験はなかった。

「岡田さんのもとで一度もプレーしたことがないのに。それがひょんなことがキッカケで会うことになった」(山田)

タンパベイと今治は姉妹都市だった!

 その“ひょんなこと”が起こったのは今年1月。フロリダ州タンパベイの自宅で自主トレーニングに励んでいた山田は、『アメリカ-日本 姉妹都市交流会』でスピーチを依頼された。地元タンパベイで活躍するアスリートを代表として、山田は流暢な英語を披露しつつ、「お世話になったアメリカと日本の橋渡し的な立場として、これからスポーツを通じた国際交流をしていきたい」という熱いメッセージを伝えた。すると早速、ある人物から仕事の相談を受けた。

「タンパベイでキャンプしてくれる日本のチームを探してくれないか?」

「オーケー。自分でよければ協力するよ。まずは自分であたってみるよ」

 山田は人に頼まれたら断れない性格。ふたつ返事ですぐに承諾した。そして行動へと移していくうちに、タンパベイに程近いレイクランドの姉妹都市である今治をホームタウンとする『FC今治』に興味を持った。去年11月に岡田武史がクラブオーナーに就任したことは、ニュースを見て知っていた。

「岡田さんに相談してみたら、もしかしたら協力してくれるかもしれない」

 直感で動いてみた。すぐに共通の知人を通して、タンパベイでのキャンプ実施に興味があるかどうか、その感触だけでも教えてほしいとお願いした。

 すると数日後、その知人から電話があった。

「岡田さんが早く会いたいそうだ。向こうも相談したいことがあるって」

 何かが始まるかもしれない――。山田は受話器越しにすぐに承諾した。日本に帰国する際、岡田オーナーと会う約束を取り付けてもらうようにお願いし、電話を切った。

【次ページ】 帰国当日に岡田に会い、FC今治に誘われた。

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